レギュラーシーズン上位8チームによる「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023−24」がいよいよ幕を開ける。本稿ではチャンピオンシップの出場チームを紹介。4チーム目はチャンピオンシップの舞台に返り咲いた三遠ネオフェニックスをピックアップする。

 2022−23シーズン、大野篤史ヘッドコーチを迎えて再建を図った三遠ネオフェニックスだったが、23勝37敗で中地区6位。チャンピオンシップには届かなかった。しかし大野HCが最下位チームに植えつけた「勝ちにこだわる」、「支えてくれる人に喜んでもらう」というメンタリティは、翌シーズンの大躍進の基盤となる。

 迎えた2023−24シーズンは主力選手の大半が残留。コティ・クラークや大浦颯太など3ポイントシュートを得意とする実力者が加わり、ビッグマンを含む5人全員がどこからでも得点を奪える布陣が整った。

 第35節終了時点における1試合平均90.1得点、22.3アシストはともにリーグトップ。爆発力のあるオフェンスが光るが、得点ランキングのトップ10にランクインしている選手はおらず、同16.3得点を記録するコティ・クラークの12位が最高位。1人の選手に依存するのではなく、ディフェンスとスピードで上回り、誰が出ても高いスタンダードで戦える三遠の強さを証明している。

 それゆえ、佐々木隆成、細川一輝、金丸晃輔などをケガで欠く期間がありながらも、チーム力が低下することもなかった。クラブ新記録となる16連勝を達成し、46勝12敗とクラブ最多勝率を挙げる記録尽くしのシーズンを送り、9試合を残して初の地区優勝、Bリーグ初年度以来2度目のチャンピオンシップ出場を決めた。

 さらにその後も、大野HCが求める「リレントレス(絶え間ない努力)」を続け、セミファイナルまでのホーム開催権を獲得。チャンピオンシップでは、平均入場者数が4000人を超えるホームアリーナの大声援も大きなアドバンテージになるだろう。

 2021−22シーズンにわずか10勝しかできなかったチームは、まさに“不死鳥”のごとく蘇った。改革2年目での地区優勝は快挙だが、誰一人満足はしていない。「シーズンが終わる時にベストなチームになれるよう全員で努力していきたい」と話す大野HCの言葉どおり、最後まで成長を続け、リーグの頂点まで駆け上がる。

■KEY PLAYER/KEY PLAYER/PG #5 大浦颯太

 秋田ノーザンハピネッツより加入した司令塔は、2023−24シーズンに最もブレイクした一人と言えるだろう。佐々木隆成の長期離脱を受けてスターターを任されると、持ち前の視野の広さとシュート力で攻撃の起点としてチームをけん引。36試合に先発して1試合平均9.3得点、リーグ6位の同5.1アシストとキャリア史上最高のシーズンを送る。

「自分らしいプレーができて、結果がついてきていることはすごくうれしいですし、自信になっています」

 チャンピオンシップの舞台は秋田在籍時の2021−22シーズンに一度経験しているが、プレー時間はわずか2分46秒にとどまった。2年前の借りを返し、今シーズンの成長を示したい。

文=山田智子