125ccを超えるバイクでデリバリーの仕事を始める際、それ以下の排気量のバイクとは違ったポイントに気をつける必要があります。どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

白ナンバーでの配達は違反!?

 バイクを利用した副業として、現在主流となっているのがフードデリバリー。コロナ禍の巣ごもり需要をきっかけに大きな話題となり、飲食店だけでなくコンビニの商品等も頼める便利さもあって、フードデリバリーサービスは日本中に拡大しています。

 バイクに乗るのが好きな人の中には、バイクを運転することでお金を稼げるフードデリバリーの配達員になってみたいという人も居るでしょう。しかし、使用しようとしているバイクが125ccを超える場合、知らず知らずのうちに法律違反をしてしまわないよう注意が必要です。

 では、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

125ccを超えるバイクでフードデリバリーを行う場合、知らず知らずのうちに法律違反をしてしまわないよう注意が必要
125ccを超えるバイクでフードデリバリーを行う場合、知らず知らずのうちに法律違反をしてしまわないよう注意が必要

 フードデリバリー業は、引っ越しや宅配のような運送業の一種で、貨物自動車運送事業法の第36条には「貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない」という規定があります。

 そして、所定の届出を出すと事業用のナンバーが交付されるのですが、タクシーや引っ越しのトラックなどに付いている「緑ナンバー」が、まさにこの事業用ナンバーです。東京や大阪等、大都市に住んでいる人であれば、緑ナンバーをつけたバイク便を見たことがある人もいるでしょう。

 本来であればフードデリバリー業でバイクを使用する際もこのような登録が必要ですが、ごく一部の配達員は知ってか知らずか白ナンバーのまま、つまり登録をせずに配達をおこなっています。

 125ccを超えるバイクを含む軽自動車での無許可営業が摘発された場合、貨物自動車運送事業法違反となり、100万円以下の罰金が科されます。

 実際に、2024年1月に無許可のバンでフードデリバリーの配達をおこなった男性に対し、仙台簡易裁判所から30万円の罰金支払い命令が下されました。

フードデリバリー業でバイクを使用する際は事業用ナンバーの取得が必要
フードデリバリー業でバイクを使用する際は事業用ナンバーの取得が必要

 さらに、許可を得ていない車両で配達している最中に万が一、事故をおこしてしまった場合、任意保険を利用することができません。そのため高額な賠償の請求があった場合でも、全額を自分の力で支払う必要があります。

 なお、「125ccを超えるバイク」と再三表現している通り、125cc以下のバイクで配達をおこなう際の届出は必要ありません。なぜなら、道路運送車両法において125cc以下のバイクは自動車ではなく第一種、または第二種原動機付自転車であると定められており、「一般貨物自動車」や「貨物軽自動車」の枠組みに当てはまらないためです。

 また、小さな青いナンバーで知られる50cc以下のミニカーは、道路交通法上は普通自動車に定義されるため、二段階右折やヘルメットの着用が不要。普通免許が必要等の特徴を持ちますが、道路運送車両法上は原動機付自転車として扱われるため、デリバリーの際の届出も不要です。

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 フードデリバリー業を展開する各社も、事業で使用するバイクやクルマのナンバー写真を登録することを義務付けるなど、無許可営業の防止に取り組んでいますが、まだまだルール違反をする人を、根絶できたとは言えません。

 無許可営業で保険の使えない相手との事故に巻き込まれてしまった場合、相手の支払い能力がなければ事故の賠償金が受け取れないこともあり、自分以外にも迷惑をかける恐れのある無許可営業は、必ず無くすべき。

 万が一街中で無許可営業のデリバリーを見つけた場合は、事業者に問い合わせしてみるようにしましょう。