ステーキ店の倒産が増えている。帝国データバンクが調査結果を発表し、2023年度は前年度の5倍となる10件の倒産があったと分かった。2ケタとなるのは2010年度以来初めてで、過去最多だ。

 多くのステーキ店で使用している米国産牛肉は、ウクライナ紛争や干ばつなどの影響で飼料用穀物や乾牧草の価格が高騰している。財務省の貿易統計によると、2023年度の平均価格は100グラム当たり200円を超えており、ここ5年間で1.4倍に上昇。より安価な豪州産牛肉の価格も、5年間で1.3倍に急上昇している。

 円安による輸入や輸送費の上昇も、倒産増に拍車をかけている。ステーキの価格は他の外食メニューと比べ割高で、客離れの懸念から値上げが容易でない店舗も多い。そのため、低価格を売りにしてきた小規模店では、急激な仕入れ価格の上昇ペースに耐えられないケースも少なくない。

 肉だけでなく、セットメニューで提供することの多い、サラダに使う生鮮野菜価格も高値で推移している。帝国データバンクは「足元ではステーキ店でも原材料などのコストアップから価格改定が相次ぐほか、豪州産や肩ロースなど安価な生産国・部位への切り替え、サラダバーの種類変更など対応に追われている」とコメントした。

 3月31日までの期間で、負債1000万円以上の法的整理による倒産を集計した。