レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、クルマと同様にバイクもEV購入で国の補助金があるのは嬉しいことだと言います。どういうことなのでしょうか?

受け取れるうちに検討した方が良いかも?

 経済産業省がEV普及を目的とした補助金を、バイクも対象に交付していることはご存知かと思いますが、あまり話題に上がっていない気がします。クルマの補助金はメディアで度々紹介されているので自然と耳に入ってきますが、それに比べるとバイクに関しての情報は少ないようです。電動バイクを購入する際には、販売店が交付金の申請方法などを紹介してくれるようです。

カワサキの電動バイク「Ninja e-1」
カワサキの電動バイク「Ninja e-1」

 クルマの補助金額が2024年度から改定されました。最低12万円からで、モデルによって金額に差があります。

 その差は環境への貢献度、つまり航続距離などによって決められます。性能だけではなく、災害時に充電設備として活用できるか否か、あるいはメーカーが充電インフラの充実にどれだけ力を注いでいるかも審査対象です。また、製造時のCO2排出量や、整備体制、補修部品の安定的確保などを配慮することで、クルマごとの補助金に差が生まれたのです。

 最上限額は日産リーフやトヨタ、レクサス、米国テスラ「モデル3」が85万円の補助金が受けられます。

 マツダ「MX-30」やメルセデス・ベンツ「EQA」の補助金は65万円、スバル「ソルテラ」も65万円です。

 韓国現代自動車の「KONA」は65万円から45万円にダウン。中国BYDの「DOLPHIN」は65万円から35万円に低下。英国ジャガー「I-PACE」の補助金は52万円から大幅減額の12万円になりました。

 今回の補助金額改定が、性能だけではなくメーカーで異なることを端的に表しているのが、トヨタの「bz4X」とスバル「ソルテラ」の補助金に差があることです。

 この2モデルは共同開発であり、中身に違いありません。生産はトヨタの元町工場です。ソルテラもそこから出荷されます。

 ですが、bz4Xが85万円の補助金対象に対して、昨年は85万円だったソルテラが65万に留まったのは、充電設備や補修に関する要件に差があったからなのです。スパルにとっては厳しいことですね。

 バイクにも補助金があります。最上限額は12万円です。原付2種タイプの電動バイク、ホンダ「ベンリィe:II」の価格は52万8000円(バッテリー含む・税抜)ですが、10万9000円の補助金が対象になります。最新のカワサキ「Ninja e-1」は97万円(税抜)ですが、補助金額は12万円になります。その差をどう感じるかは分かれるところですが、メーカー審査が影響していたのかもしれません。

 ともあれ、働くバイクではなく、レジャー目的のバイクでさえ補助金が交付されるのは喜ばしいことかもしれません。

 世界では、EVに対する補助金が減額されている、あるいは補助金制度が消滅した国もあります。EV大国を目指す中国はまたまだEV普及のための施策は豊富ですが、ドイツはEV普及率が28%になり、予算が枯渇したこともあって補助金制度が終わりました。

 日本はまだ、EVの普及率が2%未満と低水準なので、もうしばらくは続くと思われます。しかしいずれ終了の時期を迎えるでしょうから、補助金制度の動向を注視して、バイクを選択する必要があるかもしれません。