猫は人間と比べて表情に大きな変化が見られず、ミステリアスでクールなイメージを持たれがちですが、一瞬の動きを切り取ると何とも言えない面白い表情をしていることがあります。

先月、SNSのXで13万件を超える”いいね”が寄せられるほど大きな話題になった写真も、そんな猫の絶妙な瞬間を捉えた一枚でした。色とりどりの花が鮮やかに咲き誇る風景の中に立っている一匹の猫ちゃん。その表情や仕草は外でよく見かける猫のものとはちょっぴり様子が違います。

真正面を向いたまま端っこを見つめる目の動きや、「しまった」と声が聞こえてきそうな半開きの口、今にも何か技を繰り出しそうな躍動感あふれる両手、四股を踏んだようなどっしりした足腰。そのすべてが猫らしからぬコミカルな所作で、見ているだけで思わずクスッと笑ってしまうようなたたずまいです。

この写真はXユーザーのねこまる(@yzwneko)さんが、配達先の事務所に飾ってあった写真としてSNSに公開したところ、13万件を超える”いいね”が付くほどの大反響。投稿を見たユーザーからは「めっちゃ惹きつけられる」「漫画やんこんなんww」「目線とポーズが意味不明でとてもいい」「人類史に残すべき傑作」などたくさんのメッセージが寄せられて注目を集めています。

中には「歌舞伎のワンシーンにありそうな写真」「北斎みがありますね」「和の精神を感じます」など、日本の文化や社会に通じる印象を持ったユーザーも多くいたこの写真。一体、猫が何をしている時にこんな表情や仕草を見せてくれるのでしょうか。

撮影者の娘さんを通じてお話を伺ったところ、これは蝶々を見つけて遊んでいる様子を撮影した写真なのだそうで、見た瞬間「面白い写真が撮れる」と確信したと言います。写真をよく見ると猫ちゃんの重心は左側に寄っていますが、視線は逆を突かれたように反対側へ向けられていることから、ひらひらと舞う蝶々の動きに翻弄された一瞬なのでしょう。この後、猫ちゃんはしばらく蝶々を追いかけながら遊んでいたのだとか。

このユニークな写真を撮影したのは、猫の可愛らしい寝姿や仕草に惹かれて写真を撮り続けている竹内朗さん。猫は気まぐれで寝ている時間も多いので、なかなか決定的な瞬間を撮影するのは大変な気もしますが、撮影する際に何か気をつけていることはあるのでしょうか。

ご本人に聞いてみると「外で暮らしている猫は警戒心が強いので、何度も足を運ぶようにしています。」とのこと。冒頭の写真は第56回キヤノンフォトコンテストの自然部門でシルバー賞を受賞しており、多くの人々の心を動かす瞬間を捉えることができたのは、こうした地道に積み重ねた努力の賜物なのかもしれません。

竹内さんは猫だけでなく人物を撮影することも好きで、チャンスがあれば年齢国籍問わずお願いして撮影させてもらっているのだそう。
そんな武内さんの写真作品はInstagramのアカウント(@zhuneilang3)で公開されています。