「運動しないといけない」とわかっていても、仕事や家事、育児などに追われ、時間がとれない…!そんな忙しい人にこそおすすめなのが、近年注目されている「NEAT(ニート)トレーニング」。その全貌を紹介している『NHKあさイチ 仕事や家事の合間に効率よく! ラクやせ時短筋トレ』がいま、話題になっています。

運動しないままだと「やせにくい体」まっしぐら!?

筋トレは健康的なスタイルを作るためには欠かせないものですが、「ダイエットしなきゃ」「体を細くしたい」という場合、「筋トレをすると、体型がガッシリしてしまいそう」と躊躇する人も多いかもしれません。

しかし、トレーニングの負荷を大きくしたり、実践回数を増やしたりしない限り、ボディービルダーのような体型になることはないのです。

逆に、ある程度の筋肉をつければ、何もしなくても消費される「基礎代謝」が向上するため、筋トレはダイエットやスタイルを良くしたい人にこそおすすめ。

通常、幼少期から 20歳ごろまでは、年齢を重ねるにつれて筋肉の量は増え、筋繊維が太く長くなっていきますが、それを境に少しずつ筋肉の量は減っていき、30〜50代であまり運動しないで過ごすと、急激に減少。 いわゆる“やせにくい体”になってしまいます。

運動習慣がない人にこそおすすめの「NEAT」ってなに?

とはいえ、いままで運動習慣がなかった人に「今日から筋トレをしましょう」と言っても、何から始めていいのかわかりませんよね?

そんな人におすすめなのが「NEAT(ニート)トレーニング」。これは、Non-Exercise Activities Thermogenesisの略で、日本語では「非運動性熱産生」と呼ばれます。ようは、運動以外の行動で消費されるエネルギーのこと。

【人間のエネルギー消費の内訳】

基礎代謝(生命を維持するために必要エネルギー) 食事の消化に必要なエネルギー 運動で消費するエネルギー NEAT(運動以外の活動で消費するエネルギー)

基礎代謝や食事を消化するためのエネルギー消費はあまり変えることができませんが、運動やNEATは生活習慣次第で変化させることが可能。つまり、やせるためには「運動+NEAT」のエネルギー消費の総量を増やす必要があるのです。運動する時間を確保できない人は、NEATを増やす工夫をしてみてください。具体的には以下のような行動が挙げられます。

電車やバスで座らない 家事をテキパキ行う エスカレーターではなく、階段を使う 通勤バッグを少し重ためにする イスから立ち上がるときに屈伸する よく噛んで食べる 働く女性、家事や子育て中のママにこそおすすめ!

立つ、座る、歩く、掃除するといった、日常生活で筋肉を使う動きに少しの負荷をプラスして筋トレをするのが「NEATトレーニング」。難しい動作がないため、誰でも手軽にスタートできる筋トレ法なので、以下のような人におすすめです。

仕事や家事で運動をする時間がない人 運動経験が浅い人 パソコン作業が多い人、在宅勤務が中心の人 日々の動作をちょっと変えるだけ!NEATアップの超簡単テク

毎日なにげなくやっている動作に、ひと工夫を加えるだけでOK。太りにくい体を目指しましょう!

座る・立つ

太ももやお尻の筋肉は体の中でもっとも大きな筋肉。大きい筋肉から鍛えることで基礎代謝が上がるため、 効率的に体脂肪を減らせます。 

座るときに「お尻を後ろに突き出すようにして3秒間かける」ことを意識するだけ。太ももに負荷をかけたい場合は「背中を真っ直ぐにし、3秒かけて」座りましょう。

椅子から立ち上がる際、「反動をつけずに3秒間かけて立つ」ことを意識。反動をつけずにゆっくり立ち上がることで、太ももやお尻にじわじわ効いてきます。

お腹をねじる

体をねじることで、お腹の横側の筋肉(腹斜筋)を鍛えます。左右バランスよく筋力をつけることで、きれいなくびれをつくるのに効果的。 

座って洗濯物をたたんだら、お腹をひねりながら後ろを向き、その洗濯物をできるだけ遠くに置く。たったそれだけでも立派なトレーニングです。体が慣れてきたら、もっと遠くに置くつもりで、より腹部のひねりを強めてみましょう。

片足を上げる

筋力の衰えとともに、お尻が下がってきてしまうのを防止。太ももと同様、お尻の筋肉も大きな筋肉のため、 筋力をつけることで基礎代謝アップにもつながります。 

食器を洗うついでに、片足を後ろに引き上げます。前傾姿勢にならないよう、できるだけ真っ直ぐな状態をキープしながら行うことで、確実な効果が得られます。

日常動作に負荷をプラスするだけなので、お金も時間もかけずにできるのは嬉しいポイント。“肌見せ”が増える季節に向けて、ぜひ取り入れてみてください!

PROFILE 比嘉一雄さん

東京大学大学院卒のパーソナルトレーナー。月間200本以上のパーソナルセッションをこなしながら、執筆活動やセミナー、商品プロデュースやフィットネスジム監修など、 さまざまな活動を行う。書籍『NHKあさイチ仕事や家事の合間に効率よく! ラクやせ時短筋トレ』(主婦と生活社)一部監修。

イラスト/SHOKO TAKAHASHI