路地裏に灯るちょうちんに誘われ、引き戸をガラリ。3坪ほどの小さなスペースで、肩を寄せ合うように客が座っていた。「高山で一番狭い店やで」。大将の濱野和久さんがほほ笑む。

 名物は、5センチを超えるイイダコを1匹丸ごと投入した「おどりたこ焼き」。はみ出さんばかりのタコはかみ応え抜群で、口いっぱいにうまみが広がる。シンプルな「たこ焼き」は、関西流の小ぶりサイズ。絶妙な焼き加減が成せるトロッと柔らかい生地がたまらず、次々と箸が伸びる。

 知る人ぞ知る大阪の下町グルメ「いか焼き」も人気。卵や山芋の生地に切ったイカをたっぷり入れ、鉄板でぺたんこに焼き上げる。

 大阪で生まれ育ち、焼き肉やたこ焼きの店を営んだ濱野さんは、マッサージの仕事のつてを頼って17年前に奥飛騨温泉郷に。居酒屋などを経て昨夏、空き店舗を使ってこの店を始めた。

 「夏場なんて暑うて、どっちがタコか分からんわ」と笑いを誘うトークも本場仕込みの濱野さん。「アットホームな店なので、おしゃべりしながら楽しんで」 (北川鈴乃)

 池鯉鮒(ちりゅう) ▽たこ焼き(16個)800円、おどりたこ焼き(8個)千円、いか焼き450円から▽高山市総和町2の4の1▽営業時間は午後4時〜翌午前1時▽不定休▽(問)080(9405)5556