アイドルグループ「Kis−My−Ft2」の藤ヶ谷太輔(36)と女優の奈緒(29)が9月27日公開の映画「傲慢(ごうまん)と善良」(萩原健太郎監督)にダブル主演することが23日、分かった。原作は累計発行部数が93万部を突破し、昨年最も売れた小説として話題になった辻村深月さんの同名小説。藤ヶ谷は同作の熱烈ファンで、映像化を熱望して自ら原作関係者へアプローチ。奈緒も「辻村先生の作品に出演したいとずっと思っていた」と言い、2人の熱い思いが現実となった。

 藤ヶ谷が演じる主人公・西澤架は、マッチングアプリで知り合った坂庭真実(奈緒)と交際後1年たっても結婚まで踏み切れずにいたある日、ストーカーの存在を告白される。そんな矢先「架くん、助けて!」と恐怖におびえた真実からの着信が。彼女を守らなければとようやく婚約した直後、真実が突然失踪する。居場所を探すうちに、知りたくなかった過去とうそがあぶり出されていくという恋愛ミステリーだ。

 映画化が決まる前から「人生で一番好きな小説」に挙げていたほどの原作ファンだった藤ヶ谷は「辻村さんは僕のこと知っているのかなって思えるぐらい、僕自身の物語のように思いました」と自分自身を投影させながら「もし映画化するなら絶対に架を演じたい。かなわなければ一生後悔する」と自ら原作サイドに売り込みをかけて猛アピールした。

 奈緒も辻村さん作品に出演することを夢見ていたが、原作発売当初から「藤ヶ谷くんと奈緒ちゃんに演じてほしい!」「表紙が奈緒ちゃんぴったり!」という声がSNSで広がっていただけに、原作ファンの後押しもあって2人のキャスティングが奇跡的に実現した。

 2人は日本テレビ系ドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」以来4年ぶり2度目の共演となるが、撮影現場では恋愛観から人生観に至るまで細部にわたって話し合ったといい、撮影現場を訪れた辻村さんも「このお二人に架と真実を託せて本当によかった」と絶賛したという。

 藤ヶ谷は「僕の俳優人生の中でも並々ならぬ思いで演じました。まだ気づいていない潜在的な感情に気づくことができ、自分の世界が広がるような作品です。恋愛面だけでなくミステリー要素も織り込まれているとても魅力的な作品です」とアピールしている。

 「お互い大人になった気がする」と藤ヶ谷との2度目の共演について振り返る奈緒は「地方出身ならではの恋愛観や価値観にも共感できましたし、私自身30代目前となり人生の選択を考える時期になりましたので、さまざまな選択が描かれているこの作品に出会えて幸せです」とコメントを寄せた。