広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)が17日、7月7日投開票の東京都知事選に無所属で立候補すると表明した。知名度を高める背景にあったのがSNSでの非公式「切り抜き動画」だが、過激な動画編集がビジネス化している側面もある。

 安芸高田市の公式YouTubeチャンネルは登録者数26万人を超える。石丸市長の定例記者会見の動画は、コンスタントに50万回再生を超えており、中には300万回を超える動画もあった。

 この市の公式動画とは別に、YouTubeやTikTokでは内容を短く編集してテロップなどを入れた非公式の「切り抜き動画」が拡散。「議員をフルボッコ」「アホ議会」「表現の自由を悪用する中国新聞」「迷惑記者大暴れ」などと攻撃的なタイトルやテロップが入り、議会やマスコミに対して「恥を知れ!」「黙っていて下さい」と激しい言葉を浴びせる石丸市長を応援する内容が目立つ。

 市公式チャンネルの概要欄には「市においては、まとめ・切り抜き動画に関して許容しています。切り抜き・まとめ動画を編集される際には次のことを遵守してください」と記載。出所を示すなど一定の条件で切り抜きを容認している。

 だが、これら過激な切り抜き動画は収益性が高いのか、ネットによる業務委託の大手「クラウドワークス」には「政治系切り抜きチャンネルの動画編集者募集!編集テンプレあり!」「石丸市長・政治会見の切り抜き」などの文面とともに切り抜き動画編集の仕事依頼が、これまで数十件も上がっていた。大半は既に募集終了しているが、中には報酬が30万円を超える案件もあった。

 この「政治のエンタメ化」に対して、X(旧ツイッター)では「切り抜きって面白いしスカッとするからミーハーなファンが結構多いんだね」「切り抜き動画に騙されている人が多すぎ」「今の流れは相当気持ち悪い!ポピュリズム一直線ですよね?」など、この流れを危ぶむ声も出ている。