◇17日 中日2―0ヤクルト(バンテリンドームナゴヤ)

 「67・50」。何の数字かといえば、試合前までの松山のヤクルト戦の防御率だ。チームの快進撃で「あの2日間」の記憶は上書きされている。もちろん背番号90を除いては。「やり返せてよかった。やり返さないといけないと思った」。2点リードの8回を最速152キロの直球を軸に1イニング無失点で切り抜けた表情は少しだけ高揚していた。

 3月29日のヤクルトとの開幕戦(神宮)。1点リードの8回だった。先頭の村上の飛球を守備範囲だった遊撃ロドリゲスが”スルー”し、無死二塁に。ここから嫌なムードをはね返せず、逆転を許し負け投手になった。翌日も1点リードの8回に同点に追い付かれ、計⅔イニングで5失点。開幕直後ながら、防御率は爆発的にはね上がった。

 あれから2週間。自問自答しながらの日々を過ごした。「昨年の今ごろは支配下になりたい、なりたいでやっていた。まさかそれが勝ちパターンを投げるようになっているなんて想像もしていなかった」。なぜそこまでたどり着けたのか。自主トレ中に”弟子入り”した平野の言葉を思い出す。「きょうできることをやる。できなかったらやり直す。悔いのない1日を過ごす」