電動車の世界選手権、フォーミュラE(FE)は25日、来年から使用する新型車「Gen3 EVO」を発表した。現行の第3世代マシン「Gen3」の進化版で、静止状態から時速60マイル(約97キロ)まで1・86秒で到達する加速力を実現。加速性能はF1の現行車より30%、Gen3より36%高いという。

 理論上の最速値は時速200マイル(約322キロ)で変わらないものの、全体的なパフォーマンスはGen3より2%向上。使える場面は限定的ながら、シリーズ初の4輪駆動も導入された。

 Gen3 EVOは、今季第8戦を27日に控えるモナコで大々的に発表された。シリーズのジェフ・ドッズ最高経営責任者は「前例のない加速と高度な空力設計が特長。レースのスリルをさらに高め、優れたパフォーマンスで世界中のドライバーとファンを魅了するだろう」と自信満々。1周3・337キロのモナコなら、予選タイムで約2秒短縮が見込まれるほどパワーアップしたという。

 2014年9月に始まったシリーズの初代マシン「Gen1」は、バッテリー容量や回生システムの問題で約100キロのレースを走りきれず、ピットでの乗り換えが必須だった。シーズンを重ねるうちに技術が急激に進歩し、電動車の性能も飛躍的に向上。新型車は2シーズン使われ、27年から第4世代マシンの導入が予定されている。