AKI猪瀬コラム「MLBへの扉」〜大谷翔平の同僚たち〜

 今やドジャースの守護神に君臨するエバン・フィリップス投手ですが、キャリアをスタートさせたブレーブスから、オリオールズ、レイズを渡り歩き、結果が残せない日々が続いました。

 選手生命が消えかけ、引退の二文字がちらつき始めた2021年8月16日、レイズを戦力外となりウェーバー経由でドジャースへ移籍。この移籍がフィリップスの運命を大きく変えました。

 ドジャース移籍後、マイナーでは見せ球程度だったスイーパーをメイン球種にすることを進言され、ひたすらスイーパーの精度を磨き続けて一気に飛躍。22年に初めてMLBに定着して、23年中盤に名門ドジャースのクローザーに就任しました。フィリップスはスプリング・トレーニングの取材で「ドジャースに移籍できなければ、僕のプロ野球人生は終わっていたと思う」と心境を吐露してくれました。

 大谷、ベッツ、フリーマン、山本など、大型契約に注目が集まるドジャースですが、その一方で選手の生成能力や育成能力でもMLB最強を誇るマイナー組織を持っているのは強み。再生工場というべき、組織力の高さが現在のドジャースの長期間にわたる黄金期の礎となっているのです。