◇30日 中日1―2DeNA(バンテリンドームナゴヤ)

 中日・中田翔内野手(35)が、気迫の「ヘッスラ」でチームを鼓舞した。30日のDeNA戦(バンテリンドームナゴヤ)は1―2で惜敗。だが、2点を追う7回2死一、二塁で8番・村松開人内野手(23)の右前打で、二塁走者の中田が激走。本塁へヘッドスライディングして反撃の1点をもぎ取った。勝率5割で4月を3位で終え、大将は「上出来」と手応え十分のよう。まずは1日の同戦でカード勝ち越しを決め、5月進撃の号砲とする。 接戦を落としたが、竜の主砲が下を向くことはない。勝利にこだわる姿勢を、気迫あふれるヘッドスライディングで体現した。泥だらけになったユニホームから私服に着替えた中田が、報道陣にまくしたてた。

 「普段、僕のヒットでみんなにかえってきてもらっているので、ああいう場面は必死にやっているだけですけど。あそこで点が入ってもまだ負けてるという状況なので、そこから何かつながればというような気持ちは常に持っています」

 背番号6がチームを鼓舞したのは、2点を追う7回だった。先頭で中田が打席へ。DeNA先発の下手投げ右腕・中川颯の速球に詰まりながらも右前へ運び、自身6試合連続安打。続く細川も右前に落ちる安打で無死一、二塁となった。ここで中川颯が右前腕の張りを訴えて緊急降板。2番手・伊勢にスイッチした。

 サイド右腕に2死を奪われ、打席には村松。初球の変化球をたたく。バットに当たるやいなや、二走の中田が駆け出した。全力疾走で三塁を回り、最後は「自然と出た」という豪快なヘッドスライディング。反撃の1点をもぎ取り、バンテリンを沸かせた。

 ただ、この日はこの1点のみ。今季最多の11得点を奪った大勝の翌日は、わずか1得点で1点差の惜敗だった。立浪監督は「中川投手にテンポ良く、球数も少なくピッチングされてしまった。また切り替えてやっていきたい」と振り返った。

 それでも今季、チームは確実に変わっている。4月を終え、12勝12敗3分けで勝率5割。セ・リーグ3位につけている。その旗手となっているのは、4番にどっしりと座る中田だ。現在の位置をどう見るか。

 「上出来なんじゃないですか。今、首位を走っていたとしても、シーズンが終わった時に首位じゃなければ意味がない。まだ120試合くらいあるわけでしょ。まだまだこれからですね」