◇1日 中日1―12DeNA(バンテリン)

 中日の涌井秀章投手(37)が1日のDeNA戦(バンテリンドームナゴヤ)でプロ初の屈辱的なKOを食らった。立ち上がりに先頭から6連打を浴びるなど、打者一巡で9失点。自己ワーストの2/3イニングで降板した。開幕から安定した投球を続けていた大ベテランのまさかの大乱調。反撃も細川成也外野手(25)の7号ソロ本塁打による1点のみにとどまり、チームは1―12の大敗。4月4日以来となる借金生活に突入してしまった。 プレーボールから30分で試合は壊れた。涌井が先発としては自己最短となる2/3イニングで降板、8安打を浴び9失点KO。先発で1イニングを投げきれなかったのは、プロ20年のキャリアで初めてのことだった。「チーム全体に迷惑をかけ、盛り上がってくれていたファンの皆さんにも大変申し訳ないことをした」。初めて味わうKO劇の試合後、涌井は真摯(しんし)に反省の言葉を口にした。

 DeNA打線に飲み込まれた。先頭から桑原、蝦名に連打を許して無死一、二塁。3番・佐野にはシンカーを打たせたが、力のない飛球が中前に落ちて先制点を献上した。続く4番・牧には初球を左翼ポール際に運ばれた。

8球で4失点すると、制御不能のまま失点を重ねた。なお2死満塁で2打席目が回ってきた桑原、蝦名に連続適時打を浴び、7失点。たまらず立浪監督が交代を告げた。2番手・梅野が佐野にも2点適時打を浴びたため、涌井には重い「9」失点が刻まれた。

 涌井の初回2/3イニングでの降板は、昨年の7月28日の巨人戦(東京ドーム)、西武時代の2005年6月12日の巨人戦(同)でともに1イニング0/3でKOされた自己最短を更新。1イニング9失点も自己ワーストを更新した。チームとしても初回9失点以上は、1998年4月22日のヤクルト戦(神宮)で13失点して以来、26年ぶりだった。大敗しただけでなく、早い段階から6人の救援陣の投入を強いられたことも痛かった。

 悪夢のような初回だったが、切り替えるしかない。涌井は開幕から好投を続けていた。試合前まで0・77だった防御率は4・13まで跳ね上がったが、大塚投手コーチは「やられただけですね。涌井は次の登板もあるし、ひきずらない良い性格。次回に期待しています」と一言。涌井自身も「次回しっかり調整します」と話した。