将棋の藤井聡太叡王(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=に伊藤匠七段(21)が挑む第9期叡王戦5番勝負第3局が2日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルで指され、後手の伊藤七段が146手で藤井叡王を下し、2勝1敗と初タイトル奪取に王手をかけた。両者の対戦成績は伊藤七段の2勝11敗1持将棋(引き分け)となった。

 先手の藤井叡王が得意の角換わりに誘導し、伊藤七段も受けた本局。定跡の多い戦型で序盤は両者が短い消費時間で進んだが、藤井叡王が57手目に昼食休憩を挟んで55分を使って玉を戦場から遠ざけると、藤井叡王の飛車、角、香車による攻めに対して伊藤七段が66手目に79分の考慮で桂馬で受けた。このあたりから形勢が藤井叡王に傾きかけたが、伊藤七段が粘りの手を重ねて逆転した。

 ともに2002年生まれで同学年の両者がタイトル戦で顔を合わせるのは早くも3度目。第2局で伊藤七段が待望の対藤井戦初勝利を挙げタイに持ち込み、その勢い委で抜群の勝率を誇る藤井叡王の先手番でも勝利を収め、リードした。第4局は31日に千葉県柏市の柏の葉カンファレンスセンターで指される。