「音速の貴公子」と呼ばれたF1のレジェンド、アイルトン・セナさんの絶大な人気は変わらない。レース中の事故死から丸30年を迎えた1日、世界各地で追悼イベントが開かれ、多くのファンや関係者が改めて死を悼んだ。事故現場のイタリア・イモラサーキットでは、ファンや政治家が黙とうをささげた。母国ブラジル・サンパウロのインテルラゴスサーキットでは、恒例のマラソン大会が大盛況。セナさんが3度の王者に輝いたマクラーレンは「彼は私たちの胸に永遠に刻まれている」と公式Xにつづった。

 非業の死を遂げた大スター、セナさんの没後30年。節目の年を迎え、世界各地で追悼イベントが続々と開かれている。故郷のサンパウロでは、名を冠したマラソン大会に約1万人が参加。市内の墓には、お参りする人々の姿が今も途切れない。

 世界中のF1ファンを嘆かせた悲劇は、1994年5月1日に起きた。ウィリアムズから参戦したセナさんは、イモラでのサンマリノGP決勝でトップを走行中、高速左コーナー「タンブレロ」で突如コントロールを失う。時速200キロ超でコンクリートバリアーに激突し、頭を強打。意識不明のままヘリコプターで病院に救急搬送され、事故から約4時間後に帰らぬ人となった。まだ34歳だった。

 事故現場となったイモラでは1日、イタリア、ブラジル、オーストリアの外相が参列し、追悼セレモニーを開催。詰めかけたファンとともに、在りし日の姿をしのんだ。

 同じ舞台で開催される今季第7戦エミリアロマーニャGP(19日決勝)でも、故人に思いを寄せる機会がつくられる。元F1王者セバスチャン・ベッテルさんが、93年のマクラーレン「MP4/8」でのデモ走行を予定。セナさんが亡くなる前年に駆り、ランキング2位で終えたマシンだ。

 ベッテルさんは自身の交流サイト(SNS)で「事故から30年。アイルトンに敬意を表したい。僕は彼を歴代最高のレーシングドライバーだと思っている」とコメント。F1ファンに「イモラで会えることを願っているよ」と呼びかけた。