◇12日 春季近畿地区高校野球大阪府予選決勝 大阪学院大高4―1興国(大阪シティ信用金庫スタジアム)

 プロ注目の今坂幸暉(ともき)遊撃手(3年)を擁する大阪学院大高は30年ぶりに進出した決勝で興国に逆転勝ちし、初優勝した。「大阪2強」と言われる履正社、大阪桐蔭を撃破。その勢いで大阪の頂点に登り詰めた。

 中日、阪神などプロ野球3球団のスカウトが視察するなか、主将で3番の今坂が同点打を放ち、一気に逆転を呼んだ。1点ビハインドの4回1死二塁。インステップをしてサイドから投げてくる変則左腕の西野輝投手の緩い変化球を右翼線へタイムリーヒット。暴投で二進したあと、4番の中山悠紀三塁手の左前安打で生還し、勝ち越した。さらに2点を追加して、リードを3点に広げた。

 「勝負強さを一番の目標に置いています」という今坂。今大会は26打数13安打の打率5割。勝負所で快打を放ち、11打点とクリーンアップの役割をしっかりと果たした。

 昨秋の大阪3回戦で、大阪偕星に惜敗した責任を重く受けとめていたのが今坂。「みんなの思っていることが違ったのが負けの原因。これが日本一になるための練習なのか? と。みんなが変わって取り組むようになりました。練習後の自主練習をする選手が断然、増えました」と明かす。

 履正社、大阪桐蔭に勝ったことでプレッシャーも感じるようになっていたという。「そこは気にせずにやろうと思っていたんですけど、きのうの試合(準決勝の大商大高戦)は特に勝って当たり前と言われる状況になってしまって硬さがあった。きょうは最後1試合やから全員で楽しもうと割り切って、プレッシャーを捨ててやりました」と話した。

 大阪学院大高は、かつて阪神などで通算206勝を挙げた江夏豊さんの母校。甲子園には春1度だけ出場。1996年のセンバツで8強となった。それ以来、甲子園から遠ざかっている。昨年3月から指揮を執る辻盛英一監督は「履正社、大阪桐蔭に勝って、そこから負けたらダメというイメージがあり、プレッシャーになっていました。うれしいのはうれしいですけど、ああ終わったとうれしさより開放された感じ」と苦笑した。

 辻盛監督はビジネスマン兼監督だ。大手保険会社に勤務したあと、自ら保険会社を経営。そのかたわら大阪市立大(現大阪公立大)の監督としてリーグ優勝に導いた経験もある。今坂を「アイツすごいですね。チャンスでは集中力が一人だけズバ抜けてますね」と頼りにする。出場する近畿地区大会は25日から。今坂は「近畿一を取って、夏を良い形で迎えたい」と意気込んだ。

 ☆大阪学院大高の今大会足跡

 ▽2回戦(初戦) ○11―0旭

 ▽3回戦 ○4―1岸和田

 ▽4回戦 ○9―8履正社

 ▽5回戦 ○12―1追手門学院

 ▽準々決勝 ○2―1大阪桐蔭

 ▽準決勝 ○3―2大商大高

 ▽決勝 ○4―1興国