▽ツール・ド・フランス 全21ステージ(イタリア・フィレンツェ〜フランス・ニース、計3498キロ)

第111回大会は29日、史上初めてイタリア(フィレンツェ)で開幕した。最終日は7月21日。パリ五輪開幕直前のため、ゴールは史上初めてパリではなく地中海のニースで、8人編成の22チーム、計176人が23日間の長丁場に挑む。2017年の新城幸也以来となる日本勢の出場はならなかった。

              

20〜21年大会を連覇したUAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(25)=スロベニア=が、3大会ぶり3度目の総合優勝を目指す。27日の記者会見で「10日前に新型コロナウイルスにかかった」と明かしたが、「体調は回復している」と強調した。

現在世界ランキング1位。23日間のステージレースだけでなく、一発勝負のワンデーレースでも勝利を量産する。今季最大の目標はダブルツールと呼ばれる2大大会の連覇で、まずは初出場のジロ・デ・イタリアをものにした。しかも第2ステージから最終日の第21ステージまで首位を守り抜くという圧勝だった。

ツール・ド・フランス最多となる5度の優勝を記録した選手は過去4人いるが、5度目はいずれも30歳前後。22歳で2度目の優勝を飾ったポガチャルが今大会で3度目の優勝となれば、自転車界の歴史を塗り替えるような記録が生まれても不思議ではない。

ヘルメットから飛び出る金髪がチャームポイント。予測不可能なアタックや、その言動はもはや宇宙人だ。「その強さはおかしい」という意地悪な質問に「ボク、わかんない!」と子供っぽい返答をしたり、オフタイムには、恋人とのツーショットをSNSで公開したり。1960〜70年代に活躍し、自転車界最強と言われたベルギーのメルクスは人食い鬼と呼ばれたが、ポガチャルは地球を飛び出すような勢いである。

《総合1位の選手に与えられるマイヨジョーヌ。そのたった1枚しかない黄色いリーダージャージーを追いかける選手たちの素顔を紹介していく》

▼山口和幸 スポーツジャーナリスト。1997年から東京中日スポーツでツール・ド・フランス現地取材を、2010年から連載「自転車で行こう」を担当。著書に「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)、「ツール・ド・フランス」(講談社現代新書)。

【J SPORTS放送予定】6月29日(土)午後6時35分〜深夜2時20分 ツール・ド・フランス第1ステージ

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