都会のオアシスとして、多くの人が訪れる日比谷公園。遊歩道をしばらく進んだ公園の中ほどに姿を現すクラシカルな洋館が「日比谷 松本楼」です。「森のレストラン」と銘打つとおり、豊かな自然と心地よい静寂の中で、ハイカラな洋食をゆっくりと味わうことができます。

ハイカラを求める人々の憧れのレストラン

1903(明治36)年に、日本初の洋式公園として「日比谷公園」が開園しました。それと同時に、園内に「日比谷 松本楼」がオープン。当時の建物は、流行していたマンサード屋根を採用した3階建てで、おしゃれな店として評判を呼びました。それから、ハイカラ好きな人々の間では、「松本楼でカレーを食べてコーヒーを飲む」が一種のステータスのようになったそうです。

昭和46(1971)年秋、沖縄デーの大混乱の中、放火により建物は炎上焼失。しかし、全国からの温かな励ましに支えられ、昭和48(1973)年に、現在の建物となって新装オープンしました。

現在、1Fは今回ご紹介する洋食レストラン「洋食 グリル&ガーデンテラス」、3Fは本格フレンチを提供する「仏蘭西料理 ボア・ド・ブローニュ」となっています。

看板メニューはまろやかな欧風カレー

「日比谷 松本楼」の創業時からの看板メニューといえるのが、何といってもカレー。「ハイカラビーフカレー」は、小麦粉とラード、隠し味にマンゴーチャツネを使用し、牛肉とタマネギでまろやかに仕上げた英国風カレー。約4日間かけてじっくりと煮込んで作られ、歴代の料理長が多少のアレンジは加えつつも、創業時の味のベースは守り続けられています。

このほかにカレーとハヤシ、松本楼自慢の2種類のソースを半分ずつかけ、よくばりに楽しめる「ハヤシ&ビーフカレー」1650円もあります。

伝統のデミグラスソースをオムライスやハンバーグで楽しむ

「松本楼の選べるビッグプレート」は、その名のとおり大きなプレートに、オムライスと洋食1品、付け合わせの野菜や福神漬けなどが盛り合わせになったセットです。今では新たな主流となった、半熟のとろとろ卵で包むオムライスは、「日比谷 松本楼」が先駆けとなったのだそう。オムライスのソースは、ハヤシソース、カレーソース、きのこのクリームソースの3種類から選べます。

さらに洋食メニューは「ハンバーグ デミグラスソース」「クリーミィカニコロッケ」「エビフライタルタルソース」からチョイス。王道ばかりの3種類で、つい迷ってしまいます。

「ハンバーグステーキ、森のレストラン風」は、伝統のデミグラスソースにキノコのよい風味が加わったソースで、ジューシーなハンバーグをいただきます。付け合わせのマッシュポテトと一緒に合わせて、マイルドに味わってもおいしいです。

ケーキセットは平日の午後だけのお楽しみ

平日14:00〜17:00のみ提供されるケーキセットは、「日比谷 松本楼」のパティシエがつくる5種類以上のケーキと紅茶、またはコーヒーをリーズナブルなセットで楽しめます。

オーダーすると、その日に選べるキラキラのスイーツたちを乗せたトレーが運ばれてきて、思わず「わー」っと声が漏れてしまいます。定番のショートケーキやコーヒーゼリーを味わいつつ、2回目以降の来店からは、季節で変わるスイーツを楽しむのもいいですね。

ペットも同伴可の広いテラス席は早い者勝ち

天気がいい日は、ウッドデッキの広々としたテラス席から埋まってしまうことが多いそう。ペット同伴も可なので、公園の中でペットのお散歩をしながら、またはペット同伴で旅行を楽しむ人におすすめです。ランチタイムは予約不可のため、開店前から並ぶ人も多いので、気持ちよく外でお食事をするなら、早めの来店がおすすめですよ。