テレビ朝日が平日深夜に放送しているバラエティーゾーン『バラバラ大作戦』枠で4月からスタートした新感覚麻雀番組『集まれ!キャラクター麻雀』。プロ雀士の資格を持つアンジャッシュ・児嶋一哉が毎回、さまざまなキャラクター・設定に入り込んだお笑い芸人らとしゃべりながら麻雀を打つ異色の番組だ。素の状態の児嶋が、トークで各キャラの面白さを引き出していく。そんな番組や麻雀の魅力を、児嶋に余すことなく語ってもらった。

■ 企画を聞いたときは「めちゃくちゃ面白そう!…でもよくGOサイン出たな」と驚きも


 番組にはこれまで、「麻雀で不祥事を起こして芸能界から消えた女優」「地球に来て麻雀にハマったフリーザ」「麻雀覚えたてのおじさん」など多種多彩なキャラクターたちが登場し、児嶋と闘牌してきた。今夜放送の回にはなんと、プロ麻雀の最高峰「Mリーグ」の現役選手も参戦する。

――番組スタートから約1ヵ月が経ちました。最初にこの番組のオファーがあったときの印象や、これまでの手応えなど教えてください。

児嶋:最初に企画を聞いたときは、めちゃくちゃ面白そう! って思いました。でもその反面「地上波でできるの?」「よくGOサインが出たな」と少しびっくりもしましたね。

麻雀を知らない人からも「面白い」と声をかけてもらいます。もちろん麻雀番組ですから麻雀のルールを知っていると面白いですが、知らなくてもミニコントとして楽しめるんだと思います。

■ キャラに入るのは芸人同士で打っているとき特有のノリ

――麻雀を打ちながらトークするのは難しくないですか?

児嶋:プライベートで芸人仲間と麻雀をやっていると、ああいうおふざけタイムがあるんです。打ってる最中に1人がキャラクターに入ったら、ほかの3人でそれを深掘りしていく芸人特有のノリで、この番組はその延長線上にあると思います。もちろん対戦相手が3人共キャラに入るなんてことはありえないですが(笑)。

番組ではしゃべりながら、キャラを演じながらですが、麻雀の方でも結構すごいプレーが出てるんですよね。みんな持ってるなあって思います。僕自身も麻雀の方で「これをツモれば逆転!」みたいな見せ場を結構作っているので、そこはほめてほしい(笑)。

――これまで番組に登場してきた中で印象に残っているキャラクターを教えてください。

児嶋:ロングコートダディの兎がアカギ(福本伸行の漫画『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』の主人公・赤木しげる)の第1巻の登場シーンを真似してたんですけど(「アカギっぽい感じが出てるけどただ濡れてるだけのやつ」)、あれはめちゃくちゃ面白かった。アカギみたいにずぶ濡れで部屋に入ってきてそのまま打っていたんですが、室内はエアコンが効いているから「めちゃくちゃ体が冷えた」って言ってました(笑)。あと、とろサーモン・久保田かずのぶの虫歯のキャラクター(「昨日虫歯になって歯医者行ってないやつ」、対局中ずっと頬を押さえて苦もんの表情を浮かべていた)もめちゃくちゃ面白かったですね。

もし自分が何かキャラクターを演じるなら…何でしょうね。すぐキレちゃう奴とかですかね。対戦相手にキレやすい人がいたらめちゃくちゃ嫌ですよね。

■ 麻雀きっかけでさんま、中居と知り合う「最強のコミュニケーションツール」


――児嶋さんにとって麻雀の魅力って何ですか?

児嶋:僕は本当にインドアで、飲みに行ったりゴルフしたりとかが全然ないんです。友達も少ないですし。普段はずっと家にいて、出歩きたくないタイプ。でも、唯一麻雀だけは芸人として売れる前からもずっとやってるんです。そしたらあるとき「お笑い芸人に児嶋っていう強いやつがいるぞ」みたいに人づてに伝わっていき、そこから(明石家)さんまさんと知り合ったり、中居(正広)さんと仲良くなったり、人間関係が広がっていきました。この番組をやらせてもらえるのも麻雀を打っていたおかげです。麻雀との出会いは僕の人生でめちゃくちゃ大きいと思います。

麻雀って最強のコミュニケーションツールだと思うんです。しゃべりながら打つことだってできますけど、しゃべってなくても場が持つし、打ってるうちに仲良くなっていく。口下手な人でも務まるすごくいいツールなんです。

競技としても深くてめちゃくちゃ面白い。まだちょっとしかやったことがない人でも面白いし、そこからハマっていったらハマっていったで、探究に終わりがないぐらい深い。覚えることもたくさんあるんですが、この番組に関しては、難しい点数計算はとりあえず置いておいて、なんとなく「数字や字をそろえればいいんだよね」ぐらいの軽い気持ちで見始めてもらえればいいと思います。

■ ゲストに呼びたいのはブラックデビルに扮したさんま!?

――2018年の「Mリーグ」発足以降、麻雀シーンが盛り上がっています。今後、麻雀関連、あるいはこの番組でやってみたいこと、目標などはありますか?

児嶋:「Mリーグ」の影響はすごいですよね。以前は麻雀なんてタバコを吸いながらおじさんがやってる、みたいなイメージだったのに、さわやかなスポーツのように様変わりしました。麻雀人口も明らかに増えていると思います。

番組でやってみたいことと言えば、まさに今日のゲストが「Mリーグ」のチーム、EX風林火山に所属する二階堂瑠美選手なんです。まさか本物の麻雀プロが来てくれるなんて。もうこれがゴールでしょ! しかも瑠美さんもとあるキャラクターを演じるそうなんです。瑠美さんは瑠美さんのままでいいでしょ(笑)。負担をかけちゃってるんですけど、麻雀プロが出てくれることはうれしいですよね。そこからさらにファンが広がっていけばいいと思います。

ゲストとして呼びたい人といえば、劇団ひとりや陣内智則など、普段一緒に打ってる芸人仲間ですね。それこそさんまさんがブラックデビル姿で来てくれたらとんでもないことになりますよ(笑)。

普通の番組なら人気が出て、ゴールデンタイムを目指して…みたいな流れだと思うんですが、そういう番組でもない気がします。時間帯が上がると偉い人に見つかって怒られて終わってしまうような気がして、このままこっそり続けて長いことやれればいいと思います(笑)。

(取材・文:前田祐介 写真:高野広美)

 『集まれ!キャラクター麻雀』はテレビ朝日系にて毎週木曜26時15分放送。