公明党も岸田首相での総選挙を望まず

 4月28日投開票の衆院3補選が16日に告示された。その勝敗は岸田文雄首相(自民党総裁)の命運を握っているわけだが、首相はその結果とは別に通常国会の会期末解散を検討しているとされる。内閣支持率が長らく低迷する中、自民党のみならず連立を組む公明党も岸田首相による解散総選挙を望んでいない状況であることは意に介していないようなのだ。突き進む岸田首相を止められる人はいるのか。

「岸田首相は派閥解消など、サプライズをいくつか演出してきたのですが、国民の受けが芳しくなく、内閣支持率は長期低迷状態です。自民党のほとんどの議員や公明党は岸田首相ではない人物が首相・総裁になれば支持率は好転し、解散総選挙でそれなりに戦えると見ているのですが、なかなかそういったシチュエーションになりそうになく、頭を抱えている国会議員が多いようです」

 と、政治部デスク。

補選は全敗

 4月28日投開票の衆院3補選で自民党は2つの選挙区で不戦敗。唯一候補を擁立した島根1区での勝利も難しい状況だという。

「そういった状況を受け、普通なら岸田首相が辞意を固めるところなのですが、実際はそうではなく、6月解散を真剣に検討しているようです。これだけ国民的に不人気であれば、9月の自民党総裁選での再選は難しい。ならば、これまでの実績を並べて一縷(いちる)の望みにかけて衆院解散に打って出た方がまだ可能性があるという考えがベースにあるということでしょう」(同)

 首相が選挙を戦う上で参考にするのが選挙区の情勢調査だ。

「この調査結果は常に首相に報告されていますが、よくない数字が並んでいるとのこと。場合によっては自公で過半数割れさえ想定される中でも、“岸田首相なら国民の声を聞いてみたいと言いかねない”との声が上がっています」(同)

 そんな岸田首相を止められる人物はいるのだろうか。

麻生氏と森山氏

「可能性があるのは2人。自民党の麻生太郎副総裁と森山裕総務会長です。岸田首相が敬意を払っている2人ではありますが、悪い意味ではなくいずれも“いわゆる古い政治家”。首相がやりたいとかこうすると言ったことをさえぎるべきではないし、そんなことはできないといった考えの持ち主なのです」(同)

 この2人は、議席を1つでも減らさないためには退陣した方が良いと分かっていても、首相の立場の重さから、進言を慎むということのようだ。

「岸田首相の他の相談相手としては、木原誠二幹事長代理などいないわけではないですが、彼らが異論を挟む余地はない。最終的には首相の独断で決めることになるでしょう。首相の解散権行使をめぐってはこれまでも様々な意見がありましたが、今回改めてその力は強いなぁという印象を持っています」(同)

 安倍元首相、岸田首相とここ最近の選挙はいずれも与党にとって順風の状況下で行われてきただけに、永田町ではすでに緊張感が走っているという。

デイリー新潮編集部