現存しているハコスカの多くが“GT”である。そして、その大部分が“R仕様”に変更されているのも事実。そのため、今ではフルノーマルの個体のほうが価値のある場合も。フルノーマル、4枚ドア。そしてシャープなサーフィンライン。シンプルなまでの美しさに、目を奪われる──。
GT-R登場の陰に隠れた悲運の名車スカイランGT
ホイールベースの長いゆったりとした印象の4ドアセダンの2000GT。見た目からは運動性能の高い車両であるとは想像もできないC10型スカイラインというと、S20型エンジンを搭載したGT-Rばかりがクローズアップされがち。だが、そもそも 4気筒を搭載するショートノーズモデルに対して、フロントのエンジンベイを延長したノングノーズの6気筒搭載モデルは、先代S54型に続いて”GT”の名前が与えられ、スカイラインのハイパフォーマンスな上級モデルとして販売された。
GT-Rと比べてより立体的なフロントグリルが備わる独特のフロントマスクの2000GTコンパクトな4ドアセダンにセドリックなどの高級車に搭載された115馬力を発生するL20型6気筒エンジンを搭載した2000GTは、当時では十分にホットなモデルだったといえる。GT-Rの存在がなければ、高性能車としてもっと正当に評価されたかもしれない、ある意味悲運のモデルでもあるのだ。
’70年式は後の四角い2連のテールではなく、バックランプを中に備えたワンテールとなるのが特徴ここに紹介するのはそんな2000GTのオリジナルディテールをしっかりと残す’70年式。スティールホイールに貴重なハブキャップをもつ個体で、GT-Rとは異なる立体的なフロントグリルや、ガーニッシュを有するテール周り、さらにはサーフィンラインと呼ばれるスカイライン独特のリアフェンダーラインなど、GT-Rにはない魅力に溢れた 一台だ。
この年に登場するハードトップは70mmホイールベースが短いため、4ドア6気筒搭載モデルの2640mmがもっともホイールベースの長いスカイラインとなる1970 NISSAN SKYLINE 2000 GT(GC10)|2000GTのオリジナルディテールをしっかりと残す’70年式のディテールをもっと詳しく拝見!
S20型と比べるとヘッドカバーの幅が狭いSOHCのL20型。115馬力を発生した。
2000GTはシングルキャブゆえにラウンド型のエアクリーナーを装着。
ブレーキには標準でブースターが備わる。
クロスフロー型のS30に対して、L20はターンフロー。そのため助手席側にエキマニとインマニをレイアウト。
メーター周囲やセンターコンソール、ダッシュ下部までウッドパネルが貼られた高級感のあるダッシュ周り。
GT-Rと異なり、GTはウッドグリップのステアリングとなる。メーターのパネルの意匠ものちのハードトップモデルとは異なる。
センターコンソールには誇らしげに2000GTのエンブレムが。その上には電流計と燃料計が配置される。
トランスミッションは4速マニュアル。GT-Rと異なりシフトパターン表示に青いノブを備えるのが特徴。
タコメーターは8000rpmフルスケールで、6400rpmからレッドゾーン。スピードメーターの間には水温計と油圧計を装備する。
ダッシュ上部にはAMラジオ。その左側にはアナログ時計を配置。ヒータ操作パネルの右側は灰皿となる。
取材車両には助手席足元に、当時オプション扱いだったクーラーが装着されている。
ルームランプはルーフ中央に備わるドーム形状。C10時代共通のディテールだ。
フロントシートはGT-Rと異なりヘッドレスト別体のリクライニング式のシートとなる。リアシートもフロントに合わせたパターンを採用している。
4ドアモデルは2ドアモデルと比べて長さも短くデザインも異なる。ドアオープナーは前方上部にある。
ホイールは純正のスティールホイールに、今となっては貴重なフルカバードのホイールキャップを装着。カットされていないフェンダーラインが美しい。
取材車両は羽状にコンディションもよく、トランク裏もピカピカ。トランク内右側にはジャッキ固定用の金具がみえる。
トランク内にもカーペットが張られ、ガソリンタンクとの境にもカードボード製のパネルが設置されている。
【SPEC】
●全長:4430mm ●全幅:1595mm ●全高:1390mm ●ホイールベース:2640mm ●車両重量:1090kg ●エンジン形式:L20型(直列6気筒SOHC) ●総排気量:1998cc ●最高出力:120ps/6000rpm ●最大トルク 17.0kg-m/5000rpm
【DATA】
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(出典/別冊Lightning Vol.225「VINTAGE AUTO 現存ヴィンテージカー」)
著者:Lightning 編集部