今年3月に事務所から独立したキンタロー。

 12年間在籍した松竹芸能を3月末に円満退社したことを自身のSNSで発表したキンタロー。(42)。フリーになったことも影響してか、最近は今まで以上にモノマネネタの精度が上がり、その爆発的なパフォーマンスはネットでもたびたび話題となっている。

 とくに5月12日オンエアされた「千鳥の鬼レンチャン3時間SP」(フジテレビ系)での恒例企画「サビだけカラオケ」では、アンジェリーナ・ジョリー、天才子どもトランぺッター、マリオのドッスン、コロッケ、デヴィ夫人などの高度な扮装(ふんそう)メークをしながらカラオケに挑戦し、スタジオに爆笑の渦を巻き起こした。

「半音でもずれたら即終了となる企画だけあって、扮装モノマネをしながら歌い続けるのは相当なテクニックが必要になるわけですが、キンタロー。はしっかり笑いを取りつつ次々とクリア。千鳥やかまいたちも爆笑しつつ、感心すらしていました。彼女のモノマネはいわば“誇張モノマネ”のジャンルになると思いますが、すごいのは『ちゃんと似ている』こと。全盛期のコロッケさんぐらいの爆発的な笑いを生み出せるモノマネ芸に仕上がっていると思います。もともとモノマネのクオリティーが高いうえに、アレンジが天才的にうまい。モノマネの“向こう側”をお茶の間に届けることができる数少ない芸人のひとりだと思います」(放送作家)

ロングヘア時代のキンタロー。

■事務所とは2年越しの交渉

 著名人だけでなく、SNSで話題となっている一般人まで、今まで以上にモノマネのジャンルが幅広くなった印象があるが、フリーになったことも影響しているのだろうか。

「松竹を退社した後、精力的にネタを量産して、今まで以上にパフォーマンス力が上がっているようにも見えます。退社に関しては松竹側と2年越しの交渉があったそうで、仕事の決まる過程やお金の流れを自分自身で管理したかったとインタビューで語っています。頭のいい方なので、すべて自分でプロデュースしたいという思いが強かったのでしょう。もはやこれだけ鉄板のネタがあるので、単独ライブをやればお客さんは殺到するはずで、フリーになっても安泰なのは間違いない。芸人としてのランクをあげるチャンスが来ていると思います」(同)

 大学在学中に吉本新喜劇のオーディションに受かるも、ダンスの道を選んだため芸人は断念。その後、不動産会社の事務員として働くも夢を諦めきれず、29歳で松竹芸能タレントスクールに入所した。芸人としてはかなりの遅咲きだ。だが、松竹の養成所に入ったときはすでに相当仕上がっていたようで、オーディションで授業料免除を勝ち取り、トップエリートとして芸人になった。

「デビュー間もない頃に石橋貴明さんに『君は絶対に売れる』と太鼓判を押され、時流とも合致して全盛期の前田敦子のモノマネですぐさま大ブレーク。2013年の『R-1ぐらんぷり』でも芸歴1年目ながら決勝に進出するなど、それ以降もずっと売れている印象です。15年に結婚して出産も経ているので、テレビに出続けている印象はないかもしれませんが、完成度の高いモノマネ芸で営業や劇場で常に爆笑を取り続けています。通常のお笑い芸人のようにトガったエピソードトークや大喜利を求められる機会もほとんどないわけですから、『自分のモノマネ芸だけで今後はやっていける』という確信があり、事務所退所の道を選んだのだと思います」(同)

長女を出産した際のキンタロー。(2020年)

■横澤夏子のフォローを外した理由

 一方、一時期はブログで子育てについて発信してきたが、SNSなどでバッシングを受けたため、今は子育てについての発信を休止するという繊細な一面もある。最近では同じくママ芸人の横澤夏子のインスタが「キラキラ輝いて見えて、苦しくなって見られなくなった」と、フォローを外したことも明らかにした。キンタロー。をよく知る芸能関係者はこう明かす。

「破壊力のある芸風からは想像できないと思いますが、実は相当繊細な人です。収録のときも楽屋や前室ではとても物静かで、本番直前になるにつれてピリピリした緊張感を漂わせています。そんな細やかな性格だからこそ、細かい特徴をしっかりとらえて高度なモノマネ芸に昇華する才能があるとも言えるのですが、打たれ弱くていろんなことを気にしてしまう性格なのは事実。前田敦子さんや平手友梨奈さんのモノマネをやったときも、最初は相当炎上しましたし、最近でもSNSで炎上した一般人のモノマネをして炎上したこともあり、その都度心を痛めているそうです。横澤さんがまぶしすぎてフォローを外してしまうのも、非常に彼女らしい行動だと言えます。ただ、芸事でここまで評価が高いわけですから、多少の炎上なら笑いで鎮火させることも必要。生真面目さをうまくコントロールしつつ、これからもモノマネモンスターとしていろんなものを破壊していってほしいです」

前田敦子のモノマネでブレークした

■一度見たら忘れられない衝撃

 お笑い評論家のラリー遠田氏はキンタロー。についてこう評価する。

「キンタロー。さんの強みは、基本的なモノマネ技術の上に、独自のアレンジが加わっているところです。見た目のインパクトと動きのキレを生かして、ものまねの題材となる人物をすべて彼女自身の色に染め上げてしまう。その力強く爆発力のあるモノマネ芸は、唯一無二のものです。ちなみに、最近見た彼女のネタの中で個人的に気に入っているのは、『鬼レンチャン』で披露された『マリオのドッスン』のモノマネや、『佐久間宣行のNOBROCK TV』で披露された佐久間宣行のモノマネ、インスタグラムで披露された『ねぶた』の顔マネです。どれも一度見たら忘れられない衝撃作でした」

 次はどんな斬新なモノマネを繰り出してくるのか、楽しみでならない。

(藤原三星)