国内女子ツアー公式戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」2日目。初日5アンダーで単独首位に立った佐久間朱莉(さくま・しゅり)が、3バーディー、3ボギーの72で回り、通算5アンダーをキープ。首位の座を菅沼菜々に譲ったものの、まだ1打差。悲願のツアー初Vへチャンスは十分だ。

試合で打つのは初めてのハイフェードで硬いグリーンを攻略

◆国内女子プロゴルフ<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5月2〜5日 茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県) 6665ヤード・パー72>

 国内女子ツアー公式戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」2日目。初日5アンダーで単独首位に立った佐久間朱莉は、3バーディー、3ボギーの72で回り、首位を菅沼菜々に譲ったものの2位タイにつけている。

悲願の初優勝へ好位置につける佐久間朱莉 写真:Getty Images
悲願の初優勝へ好位置につける佐久間朱莉 写真:Getty Images

 今夏開催されるパリ五輪出場を目指す申ジエが、予選ラウンドを同組で回った佐久間の技術に驚いたという。

「2日間、佐久間さんのプレーを見させてもらいましたが、高いフェードボールでしっかりとグリーンに止めていました。私も同じ球筋を打とうとしたことで、今日はいいゴルフができました」

 大会初日は前日まで降り続いた雨の影響もあり、晴天でもまだグリーンに止めることができた。ところが、この日はそう簡単にボールを止めることができないほど、グリーンが硬く仕上がっていたという。

 当の佐久間によれば、「この大会は硬くて速いグリーンに仕上げることは予想できましたし、対策としてハイフェードは練習していました」という。ただ、これまで試合でハイフェードを打ったことはなかった。わざわざ高い球を打たなくてもボールが止まったからだ。ところが、初日の午後から徐々にグリーンが硬くなり始めたこともあり、ついに本番でのハイフェードを解禁。1日3、4回チャレンジしたという。

「成功率は半分以上あったのでボチボチかなと」。とはいえ、メジャーの舞台で、しかも好位置につけている状況でわざわざ不慣れなショットを試す必要があったのだろうか。

「もしもハイフェードを打たなければ、もっと難しいところにボールが行ってしまうからです。逆に、成功すれば自分に大きなチャンスがくるかなと」。“虎穴に入らずんば虎子を得ず”というが、まさにその心境だったといえる。

 象徴的だったのが、この日初めてバーディーを奪った8番パー4だ。「右の木が迫り出していて嫌な感じだったんですが、5番ユーティリティーでハイフェードを打ったら、いい感じでボールがグリーンに向かって飛んでいきました」。ピン横4メートルにつけることができ、それを沈めた。もしもハイフェードを打たなければ、とても4メートルにはつけられなかっただろう。

 ちなみに、佐久間が打つハイフェードは両手の位置がポイントだという。通常のフェードは両手がクラブヘッドよりも目標に近いハンドファーストに構えるが、ハイフェードでは、ヘッドよりも両手が後方にあるハンドレートの構えにするとのこと。通常よりも少しロフトが大きくなった分、高さが出るというわけだ。

「まだ2日あるので、しっかりと気持ちを切り替えて、明日以降も赤字で回れるように頑張ります」。今季は2度優勝のチャンスをつかみながら、それを逃している。みたび訪れたチャンスに初優勝への期待は高まる。そのためには臆することなく、ハイフェードでピンを狙っていくつもりだ。

山西英希