国内メジャーの今季第1戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」2日目、首位と4打差の14位タイからスタートした菅沼菜々(すがぬま・なな)が、6バーディー、1ボギーの67で回り、通算6アンダーでホールアウト。2位以下に1打差ながら単独首位に立った。

不調の原因は右ヒザにあった

◆国内女子プロゴルフ<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5月2〜5日 茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県) 6665ヤード・パー72>

 国内メジャーの今季第1戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」2日目、首位と4打差の14位タイからスタートした菅沼菜々が、6バーディー、1ボギーの67で回り、通算6アンダーでホールアウト。2位以下に1打差ながら単独首位に立った。通算5アンダーの2位タイには佐久間朱莉、ペ・ソンウ、イ・イェウォンがいる。

今季序盤の不調が嘘のようなゴルフを展開した菅沼菜々 写真:Getty Images
今季序盤の不調が嘘のようなゴルフを展開した菅沼菜々 写真:Getty Images

 昨シーズンはツアー初優勝と2勝目を挙げ、メルセデス・ランキングでは自身最高の11位となった菅沼。獲得賞金も1億円を超え、今季はさらなる飛躍を自身も望んでいた。ところが、いざ開幕すると出場8試合中6試合で予選落ちを喫する絶不調。その原因はショットの不安定さにあったという。

「クラブフェースが開いた状態でインパクトを迎えていたので、当たりが薄くなり、距離感が合わなかったんです」。フェースが開けば、当然ボールは右に出る。時にはピンの20ヤードも右にボールが止まることもあり、スコアメイクどころではなかったのだ。

 必死にフェースが開く原因を分析していたが、すぐには見つからず苦悩の日々を送ることに。ところが、前週のパナソニックオープンレディースの練習日にふと気がついたという。

「ケガをした右ヒザに原因があるのでは?」。本来、体を十分に捻転してクラブを振り抜くタイプだが、オフに右ヒザを負傷。その右ヒザをかばうあまり、知らないうちに捻転が不足していたのだ。右ヒザが完治しても、当時のスイングがクセとなって残っていたため、当たりの薄いショットを生み出していた。

 そこでアドレスの時点から下半身をどっしりとさせ、バックスイングでは上体を十分に捻転するようにしたところ、フェースが開かず、ボールがつかまるようになったという。「ただ、今までよりも飛距離が出るようになったので、距離感が合わず、先週は予選落ちをしてしまいました」。今週に入ってようやく距離感が合うようになり、ピンそばに付く回数が増えた。

 初日をノーボギーで回ったことで、今週は行けると自信を得て臨んだ2日目、菅沼は確信を得る。なんと6バーディー、1ボギーで、この日のベストスコアとなる67をマーク。通算6アンダーとし、前日の14位タイから一気に単独首位へと躍り出た。

「ショットも良かったんですけど、私の場合、昔から高速グリーンが好きなので、今週はタッチが合うんです」。前半の5番パー4でこそ3パットのボギーを叩いたものの、5メートルのバーディーパットを2回決めた上に、最終18番パー5では10メートルを沈めてみせた。

 この日は1万1721人のギャラリーを集め、決勝ラウンドではさらに多くのギャラリーが詰めかけると予想される。“自称アイドル”の菅沼にとっては、ギャラリーからの歓声が大きければ大きいほどテンションが上がるだけに、大ギャラリーは追い風になりそうだ。

 とはいえ、気負いはない。「優勝を意識すると力が入るので、明日も今日と同じように楽しく、周りを気にせずにプレーします」と、マイペースでラウンドするつもりだ。

菅沼 菜々(すがぬま・なな)

2000年2月10日生まれ、東京都出身。18年プロテスト合格。20-21年シーズンは賞金ランキング47位で初のシードを獲得。22年シーズンは、メルセデス・ランキング8位と躍進。23年「NEC軽井沢72ゴルフ」では、神谷そらとのプレーオフを制して悲願の初優勝を挙げる。あいおいニッセイ同和損保所属。

山西英希