生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、ゆとりのある老後生活に必要な金額は平均で「月37万9000円」となっています。夫婦で月に年金30万円を目指すことでゆとりのある老後生活を送ることができそうです。   それでは、共働きの夫婦で年金30万円を受け取ることは可能なのでしょうか? また、会社員と専業主婦(夫)の夫婦でも同様に年金30万円を受け取ることができるのかも気になるところです。   そこで本記事では、共働きの夫婦が月に年金30万円を受け取るためには現役時代にいくらの年収が必要なのか解説していきます。会社員と専業主婦(夫)の夫婦の場合も紹介するので、老後の生活の参考にしてください。

老齢基礎年金は満額で月6万8000円

65歳から受け取れる公的年金は基本的に老齢基礎年金と老齢厚生年金です。
 
「老齢基礎年金」は、国民年金保険料を20歳から60歳までの期間に全額支払うことで満額の年金額を受け取れます。令和6年4月からの老齢基礎年金の年金額は満額で年81万6000円です。月額では6万8000円になります。
 
「厚生年金保険料」を納付している場合は老齢厚生年金も受け取ることが可能です。老齢厚生年金は報酬比例部分、加給年金、経過的加算の3つで構成されています。その中でも報酬比例部分が年金額の基礎となるので、ここでは報酬比例部分のみを計算して老齢厚生年金の年金額を計算します。
 
報酬比例部分の計算式は「平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の厚生年金加入期間の月数」です(老齢厚生年金の加入期間が平成15年4月以降の場合)。
 

共働きの夫婦の場合

老齢基礎年金は夫婦ともに満額受け取れると考えると、月に13万6000円です。共働きの場合はこれに加えて老齢厚生年金を受け取れます。月に30万円の年金を受け取ろうとすると老齢厚生年金で必要な金額は16万4000円です。
 
16万4000円を年額にすると196万8000円になります。夫婦2人で平等に分けると98万4000円が必要です。これを報酬比例部分の計算式にあてはめると、平均標準報酬額×5.481÷1000×480ヶ月(20歳から60歳まで会社員として働いた場合)=98万4000円です。したがって平均標準報酬額は約37万円となります。年収としては、「夫婦それぞれで440万円」必要です。
 

会社員と専業主婦(夫)の夫婦の場合

会社員と専業主婦(夫)の夫婦の場合では、1人は専業主婦(夫)なので老齢厚生年金が受け取れません。そのため、夫婦で老齢基礎年金を満額受け取る場合の13万6000円に加えて、不足分の16万4000円をすべて配偶者の厚生年金で賄うことになります。
 
16万4000円を年額にすると196万8000円となり、報酬比例部分の計算式にあてはめると平均標準報酬額×5.481÷1000×480ヶ月=196万8000円です。この場合、平均標準報酬額は約75万円になります。そのため、必要な年収は「900万円」です。
 

実際の手取り額はさらに減ってしまうことも覚えておきましょう

夫婦共働きの場合は、それぞれ年収440万円ほどで月に30万円の年金を受け取れます。もっとも、20歳から60歳までの期間の平均年収が440万円の場合なので注意してください。会社員と専業主婦(夫)の夫婦の場合は会社員の配偶者の平均年収が900万円必要です。かなり高収入でなければ難しいと考えられます。
 
また、実際の手取り額は税金や社会保険料が天引きされるので、さらに減ってしまいます。手取り額を考慮する場合は平均年収が事例よりも多く必要なことを覚えておきましょう。
 

出典

公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー