会社に勤めている場合、厚生年金保険料が天引きされています。   しかし、保険料の支払い負担が大きいと感じる方も多いかもしれません。70歳以上になった場合でも支払い続けるものなのか、いつまで支払うものなのか気になる方もいるでしょう。   そこでこの記事では、厚生年金保険料はいつまで支払い続けるのかについて解説します。また、働きながら厚生年金を受給する際の注意点も併せてご紹介します。

70歳以上になっても厚生年金保険料を支払い続ける?

結論からお伝えすると、70歳以上の方は基本的に厚生年金保険料を支払う必要はありません。
 
なぜなら、厚生年金保険の加入資格は70歳を迎えるまでと決まっているためです。
 
ただし、一定の条件を満たす方が70歳以上になっても企業で働き続ける場合は、任意で厚生年金保険に加入できます。この制度を「高齢任意加入」といいます。
 
高齢任意加入は70歳以上になっていることに加え、老齢年金を受け取れる加入期間を満たしていない場合に申請できます。
 
老齢年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算して、受給資格期間が10年以上の方が受給できる仕組みです。
 
つまり、この加入期間を満たしていない方が70歳以降に高齢任意加入を利用し、加入期間を満たすまで保険料を納めることで、老齢年金が受給できるようになるのです。
 

働きながら厚生年金を受給すると年金額が一部もしくは全額支給停止になることも

なお、働きながら老齢厚生年金を受給し、給料と厚生年金額の合計が一定額以上になる場合は、老齢厚生年金額が一部もしくは全額支給停止になる場合があります。
 
具体的には、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以上の場合に、支給停止となります。なお、50万円は令和6年度の支給停止調整額です。

●基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金(年額)÷12
●総報酬月額相当額:月給(標準報酬月額)+直近1年間の標準賞与額の合計÷12

基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以上の場合の支給停止額の計算式は以下の通りです。
 
(基本月額+総報酬月額相当額−50万円)÷2
 
例えば、基本月額が17万円、総報酬月額相当額が36万円の方の場合、支給停止額の計算方法は以下の通りです。
 
(17万円+36万円−50万円)÷2=1万5000円
 
つまり、この方が受け取れる老齢厚生年金は、1ヶ月あたり15万5000円となります。
 
なお、老齢基礎年金は支給停止の対象外となるため、全額受給可能です。
 

70歳以降は厚生年金保険料を支払う必要がなくなる

基本的に企業で働く場合は厚生年金保険料を支払う必要があります。しかし、70歳以上になると加入資格がなくなるため、支払う必要がなくなります。
 
なお、一定の条件を満たす方は「高齢任意加入」により70歳以降も厚生年金保険料を支払い続けられるため、必要に応じて申請しましょう。
 
また、働きながら厚生年金を受給すると、金額によっては年金額が一部もしくは全額支給停止になることもありますので、頭に入れておきましょう。
 

出典

日本年金機構 70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き
日本年金機構 老齢年金
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー