別居している親に様子を聞いたら、食事の回数が少なかったり生活に困っていたりする場合もあるかもしれません。子どもとしては親が心配になり、仕送りをするケースも少なからずあるでしょう。   もし親へ仕送りをする場合は、金額や目的をしっかり考えておくことが大切です。今回は、親へ仕送りをしている方の割合や理由などをご紹介します。

別居している親へ仕送りをしている方はどれくらい?

総務省統計局が公表している「令和4年国民生活基礎調査」によると、調査内での世帯総数5431万世帯のうち、子どもや親へ仕送りをしている世帯数は278万世帯でした。
 
さらに、278万世帯のうち親へ仕送りをしている世帯は、子どもと親の両方へ行っているケースも含めて113万8000世帯です(親のみの世帯:104万7000世帯、子どもと親の両方の世帯:9万1000世帯)。
 
割合にして、約2%の世帯は親へ仕送りしていることになります。さらに、同調査によると、親のみへ仕送りをしている世帯の平均金額は5万6000円でした。ただし、仕送り額のトップ3は平均額と少し異なるようで、以下の通りです。


1位:2〜4万円
2位:4〜6万円
3位:10万円以上

平均額以下や、平均額の2倍以上の金額を仕送りしている世帯も多いことが分かります。
 
実際に親へ仕送りをする場合は、自分ができる範囲で行うことが大切です。また、お金に余裕がある場合は親に生活状況を具体的に聞いて、必要な金額を割り出しておくと金額を決めやすくなるでしょう。
 

親へ仕送りをする目的とは

親の生活状況によって、必要な仕送りの目的は異なります。「令和4年国民生活基礎調査」では、親への仕送りの目的を「入所・入院費」「その他」としています。
 
同調査によると、親への仕送り理由のうち「入所・入院費」のみが29万3000世帯、「その他」のみが83万4000世帯、両方を含む理由が1万1000世帯でした。
 
多くの世帯が、「その他」の理由で仕送りをしています。その他は入所や入院費以外の理由が当てはまるため、親の生活費として送っている方もいるでしょう。
 
実際、親が食事を1日1食しかとらないなど、生活に困っている様子であれば、食費を始めとする生活費として仕送りをする方法もあります。
 
ただし、仕送りを生活費以外に使用すると、贈与税の対象になる可能性があるので注意が必要です。国税庁によると、贈与税の発生しない贈与の一つに「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」があります。
 
親への生活費目的の仕送りもこの項目内容に該当するので、通常、贈与税はかかりません。しかし、仕送りを親が貯金や投資に使用したり金額が高すぎたりすると、生活費に必要なお金とみなされない可能性があります。
 
仕送りをする際は、貯金に使わず生活費として使用するように伝えておきましょう。
 

親への仕送りは目的をはっきりさせたうえでする

親へ仕送りをしている世帯数は、約2%でした。また、送っている平均金額は5万6000円です。
 
しかし、仕送りをしている世帯のなかには、10万円以上のお金を送っているケースも少なくありません。仕送り額を決めるには、親がどれくらいのお金を必要としているのか、また自分にどれくらい金銭的余裕があるかを把握しておくことが重要です。
 
また、仕送りを実際にするときは、目的をはっきりしておきましょう。親の食費を始めとする生活費で必要な金額であれば、贈与税の対象にはなりません。
 
しかし、生活費以外の目的で使用したり金額が高すぎたりすると、対象になる可能性もあります。親と相談して、目的をはっきりしたうえで必要な金額を送りましょう。
 

出典

総務省統計局 e−stat政府統計の総合窓口 令和4年国民生活基礎調査 世帯 年次(表番号第56表,第57表,第61表)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー