賃貸住宅の家賃は、物件の築年数が長くなるほど安くなる傾向があります。一方で、築年数が古い物件には強度などに不安を感じ、「借りても大丈夫だろうか?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。   本記事では、築年数が古い物件でも、リフォームをしていれば安全であるのかを解説します。

1981年以前に建てられた物件は避けたほうがよい

都内23区内における3LDKの物件の相場は、株式会社CHINTAIの不動産検索サイト情報(2024年4月24日時点)によると、最も高い港区が58万円、最も安い練馬区が16万5000円です。そのため、今回取り上げた家賃10万円の物件は、破格の価格といえるでしょう。
 
しかし、値段がいくら安くても、借りるのには注意が必要です。なぜなら、2024年時点で築45年ということは、物件が建てられたのは1981年以前だからです。
 
建物の耐震基準は建築基準法で決められており、これまでも災害が発生するたびに見直されてきました。現行の耐震基準は、2000年基準と呼ばれているものが採用されています。しかし、旧耐震基準が適用されていた1981年以前に建てられた建物は、震度5強レベルの地震までしか耐えられません。
 

リフォーム済みでも油断は禁物

築年数が古い物件でも、今回のケースではリフォームをしているから大丈夫と考える人もいるでしょう。しかし、リフォームをしたとしても物件の耐震性が上がるとは限りません。
 
なぜなら、物件のリフォームをする際に上部の構造体だけ補強して、基礎の補強はしないケースも少なくないからです。当然ですが、構造体がどれだけきれいになっても、基礎が古いままでは強度は変わりません。リフォーム済みであっても油断は禁物です。
 

強度の高い物件の特徴

地震をはじめ、さまざまな災害が発生するリスクが高い日本において、物件の強度は重要です。以下で、強度の高い物件の特徴を説明します。物件探しをする際は、ぜひ参考にしてください。
 

新耐震基準で建てられた物件

物件を探す際は、物件が建てられた年月日を確認しましょう。1981年6月1日以降に建てられた物件は新耐震基準で造られたもので、工事に問題がない限り震度6、7の地震でも倒壊しないことを目標としています。2000年6月にも基準が改正されており、この時期以降の基準で建てられていれば、より安心感があります。
 

シンプルな四角い物件

四角い形をした物件も、地震の揺れによって発生する負荷をうまく受け止め、受け流すことができるとされ、強度が高いと考えられます。
 
一方、凹凸の多い複雑な形の家は一方の壁や柱に負担がかかりやすいため、倒壊のリスクが高くなることもあります。
 

壁が多い物件

壁が多い物件も、壁と床で地震の揺れをしっかり受け止めることから強度が高いと考えられます。ただし、壁が多くても壁の長さに差がある、もしくは大きな部屋と小さな部屋があるなど、構造がアンバランスな物件は地震に弱いとされます。
 

定期的にメンテナンスが行われている物件

耐震補強を含め、定期的にメンテナンスされている物件は、多少築年数が古くても物件選びの選択肢から外す必要はないといえます。物件の見学をする際に、内装や設備のチェックと同時に、メンテナンスの頻度を不動産屋や管理会社にあらかじめ聞いておきましょう。
 

物件を探す際は家賃の安さにこだわりすぎない

家賃は安いに越したことはありませんが、家賃の安い物件には理由が存在します。リフォームされた物件でも、基礎まで工事が行われていない可能性があるため、1981年以前に建てられている場合は避けたほうがいいでしょう。
 
ただし、古い物件でも地震に強い構造で、物件の基礎まで修繕されている場合は、十分新しい住まいの候補として考えられます。以上の点を内見の際に確認しておきましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 建築基準法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー