私たちが使っているお金の価値は、時代によって大きく変わります。昔は数百円で家が買えたという話を聞いたことがある人もいるでしょう。   仮に今の自分の貯金をもって、昔にタイムスリップすれば、どれだけお金持ちになれるのか想像してみたことがある人も多いのではないでしょうか。   そこでこの記事では、現在の物価と昔の物価を比較して、お金の価値の違いを検証します。

今の30万円は1960年ではどれくらいの価値がある?

お金の価値というのは一定ではなく、物価によって変動します。時代の流れによって物価も大きく変わり、今では考えられないような金額で物の取引がされていました。
 
1968年の大学初任給の平均は、3万600円だったといわれています。
 
1968年以前は、初任給が1万円台だった頃もあり、お金の価値は数十年で大きく変動することが分かります。
 
日本銀行のホームページによると、現在の30万円が、昔の物価でどれくらいの価値に相当するかは、「消費者物価指数」を参考に考えられます。
 
「消費者物価指数」とは、私たちが日常生活で購入する多くの商品の価格変化を、総合的にまとめた指数です。仮に1960年の物価と現在の物価を比べる場合、現在の消費者物価指数から1960年の消費者物価指数を割ることで、物の価値の変化を計れます。
 
2023年の消費者物価指数は「106.6」です。対して1960年の消費者物価指数は「17.9」なので、106.6÷17.9=5.95となり、現在の物価は1960年の約6倍であることが分かります。
 
つまり、現在の貯金30万円を持って1960年にタイムスリップしたら、約180万円の価値となります。お金持ちとまでは言えませんが、持っているお金が6倍の価値になるというのは、単純に気分がよいものです。
 

明治時代だとどれほど変わるのか

1960年と現在では、物価に約6倍の違いがあるため、お金の価値も変化しました。ここではさらにさかのぼって、明治時代のお金の価値と比較します。
 
明治時代の物価は、企業間で取引される物の物価の変動を表す「企業物価指数」を用いて考えます。明治時代は「企業物価指数」の中でも「戦前基準指数」という海外への輸出品・輸入品を含んだ指数です。
 
2023年の戦前基準指数「876.3」から、1901年の戦前基準指数「0.469」を割ると、約1868になります。現在の物価は、1901年と比べたら約1868倍です。
 
つまり、貯金30万円を持って1901年にタイムスリップすれば、5億6040万円のお金を持っているのと同じになります。明治時代ならば、間違いなくお金持ちになれるでしょう。
 
1902年はビールが1本0.2円、そばが1杯0.02円、卵が1個0.018円で売られていました。1897年ごろの重工業の男性労働者は、1日10〜11時間程度働いて、日給0.3〜0.35円でした。当時と今の価格はかけ離れていることが分かります。
 
大正時代末期は、大卒のサラリーマンの初任給が50〜60円でした。大正時代末期でも、現代の30万円あれば十分お金持ちになれそうです。
 

昔にさかのぼるほど物価は安くなる

現在日本では、歴史的な物価高騰により、庶民のお財布事情が厳しくなっています。物価は時代と共に変動し、昔にさかのぼるほど安くなるため、今のお金を持って昔にタイムスリップすれば、お金持ちになれると考えられます。
 
「消費者物価指数」「戦前基準指数」を比較した上で、現在の物価と1960年に比べると約6倍、1901年と比べると約1868倍であることが分かりました。せっかくなら、できるだけ多くのお金を持ってできるだけ昔にタイムスリップしてみたいものです。
 

出典

日本銀行 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー