復興庁は30日、東京電力福島第1原発事故からの本県再生に軸足を置く第2期復興・創生期間(2021〜25年度)終了後の新たな復興方針の取りまとめに向けた議論に着手した。有識者で構成する作業部会を設置し、政府が11〜25年度の15年間で総額32兆9千億円の復興財源を確保するとした「前例のない手厚い支援」(復興庁)で復興がどう進展したのかなどを検証し、残された課題への対応を「第2期後」の復興政策に反映させる方針。
 作業部会の初会合が冒頭を除き非公開で行われ、座長の今村文彦東北大教授が「第2期復興・創生期間は(終了まで)残り2年弱。これまでの復興の取り組みを総括し、26年度以降の(復興の)在り方を検討する」と強調。今夏に東日本大震災と津波の被災地に関する議論を踏まえた中間報告を示し、今秋をめどに本県を対象とした原発事故からの復興政策を総括した最終報告を取りまとめる方針を決めた。
 復興庁によると、会合では復興政策の総括に向けた議論のポイントとして「第2期後」を念頭に財源を確保するための国民負担などに理解が得られるかどうかを提示。有識者からは、復興に関する投資の効果や地域のニーズ、自治体の人口規模に応じた対応の在り方なども議論で重視するよう提案があった。作業部会は今後、月1回の頻度で開かれる予定。
 「第2期後」の復興予算や制度の在り方は現時点で白紙状態で、岸田文雄首相は25年度中に復興事業の規模や財源を含め新たな対応方針を決める考えを示している。県や被災地の市町村は26年度以降も長期的な枠組みでの財源の確保を政府に求めている。