国内で白河市表郷地域にのみ自生している希少な水生植物「ビャッコイ」について、市は10日、国の天然記念物への指定に向け、自生地の植物調査に取り組む委員会を設置した。ビャッコイが自生する表郷小近くの泉とその周辺の林約1・4ヘクタールの指定を目指す。既に地権者約120人から指定に必要な同意を取得しており、2026年1月ごろに国に申請したい考えだ。
 ビャッコイは水温が年間を通じて10〜12度の清らかな泉や小池などに自生する多年草。北半球では白河市表郷地域にのみ自生しており、県の天然記念物に指定されている。近年は自生範囲が狭まり、環境省レッドリストの絶滅危惧IA類に分類され、20年2月には無許可採取や譲渡、売買が禁止される国の「国内希少野生動植物種」に指定された。
 市は自生地の保全を続けるため、開発などが規制されるよう国から天然記念物の指定を受ける必要があると判断した。委員会は植物学や生態学に詳しい有識者でつくり、福島大の黒沢高秀教授が委員長、県文化財保護審議会委員の竹原明秀氏、岡山理科大の矢野興一准教授が委員を務める。自生地の植物調査に関する助言や研究を行い、国への申請に必要な調査を実施。調査を通じて学術的な価値の高さを示す狙いもある。
 委員会は10日、市役所で初会合を開き、委員がビャッコイを取り巻く環境や生育状況を把握する必要性などを指摘した。会合後、現地を視察し、ビャッコイの自生範囲を確認した。