宜野湾市の普天満宮本殿の近くにある洞穴から、約3万2000年前に人類が火をたいた跡、炉跡(ろあと)が見つかった。

これは、県内で見つかった人類の活動の痕跡の中でも最も古い年代のもので、3万年以上前に人類がどのように生活していたかを紐解く、重要な手がかりとなりそうだ。

「冷静に話しているけど興奮している」「他の土とは色が違った」

2024年4月12日、沖縄国際大学で新里貴之准教授が発掘調査に関する会見を開いた。

沖縄国際大学 新里貴之准教授:
極めて冷静に話しているつもりなんですけど、実は興奮しています。まさか、実習でそういう遺跡にあたること自体がなかなかないので

沖縄国際大学考古学研究室では、2022年から普天満宮本殿の近くにある洞穴の調査を進めていて、2023年度、学生たちが参加する発掘調査実習の中で大きな発見があった。

調査に参加した 沖縄国際大学3年 中道美海さん:
他の土とは色が違ったので、掘り進めていくともっと広範囲に見えてきて、だんだん『すごいものなんじゃないか』って思いました

調査に参加した 沖縄国際大学 大学院1年 知念海さん:
先生に後から『3万年以上前だったよ』と聞いたときに驚いたというか、すごい遺跡だったんだなと

遺跡から見つかったのは、人間が火をたいた跡・炉跡(ろあと)や焼けた跡が分かる礫(れき)などで、放射性炭素年代測定を実施したところ、約3万2000年前から1万8000年前のものだと判明した。

沖縄の人類史で極めて重要な遺跡

県内ではこれまでにも、旧石器時代の人類の活動が分かる痕跡が発見されている。

石垣市の白保竿根田原洞穴遺跡では、約2万6000年前から1万7000年前の人骨などが発見されている。

また、南城市のサキタリ洞遺跡では約2万3000年前の貝製品などが出土した。

このほか、那覇市の山下町第一洞穴遺跡では、国内最古となる、約3万6000年前の人骨や、石器などが見つかっている。

今回、約3万2000年前の炉跡が発見された普天満宮洞穴遺跡について、新里准教授は、「沖縄の人類史を考える上で極めて重要な遺跡」であると評価する。

沖縄国際大学 新里貴之准教授:
琉球列島では、3万6000年前ぐらいから間違いなく人が住んでいて、その後、どういう風に生活していたのかというのがまだ良く分かっていない。そういうものを今後、分析できる非常に重要な遺跡のひとつだろうと思っています

さらに古い年代のものも出土する可能性も

また、洞穴内の別の調査地点からは、約1万1000年前の人骨も見つかっているほか、炉跡が見つかった場所では、さらに下の層の存在が確認されていることから、今回以上に古い年代のものも出土する可能性を秘めている。

沖縄国際大学 新里貴之准教授:
(考古学は)人類が残した痕跡であるとか、道具とかを研究する学問なので、そういう人類が使った道具がはっきりすれば、沖縄の研究だけではなく日本の旧石器時代の研究にも貢献できる成果になると思いますので、それ(道具)の発見を目指したいと思います

人類の歴史を知ることにつながる大きな発見。

3万年以上前に沖縄にいた人たちがどんな暮らしをしていたのか…。
遺跡からその歴史が紐解かれていく。

取材後記:

普天満宮洞穴は聖域になっていて、本来は立ち入りができない場所だが今回の調査は普天満宮の協力のもと実施できたとのこと。

研究室では今後、炉跡に残されていた灰を分析するなどして、当時の人類が何を食べ、どんな生活をしていたかを解明したいとしている。

こうした分析を進めながら、研究室では2024年8月にも普天満宮洞穴遺跡で発掘調査を実施する予定。

(沖縄テレビ)