ドローンが捉えた絶海の孤島・尖閣諸島の今。

海岸には大量のごみが漂着。
植物も枯れ始めるなど、荒廃が進む島のすぐそばでは、日本と中国の船がにらみ合った。

石垣島から170kmほどの場所にある日本固有の領土・尖閣諸島の周辺が緊迫の海となったのは、2010年代初めのことだった。

尖閣沖の日本の領海で違法操業していた中国漁船が、海上保安庁の船に体当たり。

その後も中国側が挑発ともとられる行為を繰り返す中、2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化した。

こうした中、4月下旬、現在の尖閣を調査するため、初めてドローン撮影が行われた。

夜明け前、尖閣諸島の魚釣島に向け、調査船が薄暗い海を進むと、背後から赤いライトと緑のライトが迫ってきていた。

その正体は...赤いライトが中国海警局、緑のライトが海上保安庁の船だった。

近年、海洋進出をさらに強める中国。
南シナ海では4月30日も、海警船がフィリピンの巡視船に放水攻撃。

尖閣海域では現在、こうした実力行使こそ起きていないが...。

傍受した無線「釣魚島(※中国側呼称)および付属の島々は、古来、中国の固有領土である。その周辺海は中国の領海である」

緊張感漂う中、日本の調査団として初めて島の上空にドローンを投入。
その映像を見ると、海岸一帯に白っぽい物体が点在しているのがわかる。

東海大学・山田吉彦教授「このへんが全部ゴミ...ゴミの山。中国の漁民が流したゴミ」

異変は、ほかにもあった。

東海大学・山田教授「もうヤギすら生きられない。12年前の調査の時は、目視でもかなり見えていたんですけど」

こうした複数の状況から、島の水源の枯渇化が進んでいると専門家は分析する

東海大学・山田教授「水が少なくて、島全体が乾き始めている。いち早く島の上陸調査をすることが必要だと」

一行は、さらなる調査を行おうと準備を進めていた。

ところが、調査中も中国の海警船が魚釣島すぐそばにとどまっていた。

尖閣海上でのにらみ合いが続く中、調査団はある決断を余儀なくされた。

担当者「きょうはもう(ドローンを)飛ばしません。(中国の海警船が)間にいるので」

ドローンの飛行ルート上に中国船がいることから、不測の事態を避けるため、この日のドローン調査は途中で中止となったのだ。

海上保安庁によると、2024年に入って、すべての日で中国海警船が尖閣諸島の接続水域に。
領海侵入も13日、のべ33隻に及び、尖閣海上での緊張はもはや日常の光景となっている。

今回のドローン調査について、在日本中国大使館は「一切の政治的挑発、現場での騒ぎ立て、世論のあおり立てをやめ、(中略)情勢のさらなるエスカレートを回避するよう強く促す」とコメントしている。