岸田首相は、憲法記念日の3日、民間の改憲派集会に向けたビデオメッセージで「現行憲法は、施行から77年の間、一度も改正されていない中にあって、時代にそぐわない部分、不足している部分については、果断に見直しを行っていかなければならない」として憲法改正に向けた議論を呼びかけた。

また、憲法改正は「国民が国民投票で決めるものであり、主役は国民だ」と述べ、国民投票の実現を訴えた。

さらに、戦争や自然災害などの緊急事態が起きた際に、国会議員の任期を延長するための憲法改正について「特に緊急事態条項については、論点整理が進むなど与野党の枠を超えて活発に議論いただき大変歓迎すべきものだ」と述べた上で、「憲法改正は国会が発議するものだが、最終的には、主権者たる国民の皆様が国民投票で決めるものであり、主役は国民の皆様だ」と、国民に呼びかけた。

また、「憲法改正がますます先送りのできない重要な課題となる中で、国民に選択肢を示すことは『政治の責任』だ。いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないことは『責任の放棄』と言われてもやむを得ない」と述べて、改正の賛否を問う国民投票の実施に向けた国会での更なる与野党論議を促した。

メッセージの最後では、自民党の派閥資金問題に触れ「一連の政治資金の問題で政治不信を招いたことについて、自民党総裁として心からお詫び申し上げなければならない」と陳謝した上で「政治の信頼回復のためにも、政治改革の議論と併せて、憲法改正という重要課題について、党派を超えて連携しながら、真摯に議論を行う姿を国民の皆様にお見せしていきたい」と述べた。

岸田首相は9月に迫る「総裁任期中」の改正を掲げてきたが、今回は憲法改正の発議などについて具体的な時期には触れず、「国民の皆様と憲法についてともに議論し憲法改正についての理解をともに深めていきたい」と述べるにとどめた。