●FW

 サッカーU-23日本代表は現地時間29日、AFC U-23アジアカップカタール2024・準決勝でU-23イラク代表と対戦し、2-0で勝利。8大会連続12回目の五輪出場を決めた。この試合での選手たちのパフォーマンス、そして監督の采配はどうだったのか。今回はA〜Dの4段階で評価する。
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 立ち上がりからDFとの駆け引きを行うと、28分に結果へとつながった。巧みな裏抜けから藤田譲瑠チマのパスを引き出し、うまくコントロールしてゴールを奪った。これで2試合連続の得点と、復活の兆しを見せ始めている。ただ、2点目、3点目を奪えるシーンがあったのは事実であり、エースとして大満足の結果とは言えないだろう。あえて厳しいB評価とした。

内野航太郎(背番号18)
U-23イラク代表戦:90分 IN
評価:出場時間短くなし

 90分から出場。さすがにできることは限られた。

●MF

藤田譲瑠チマ(背番号8)
U-23イラク代表戦:フル出場
評価:A

 キャプテンとして抜群の存在感。味方の動きを見逃さない視野の広さと卓越した技術を武器に2つのゴールを演出し、それ以外にもチャンスを作り出した。また、守備時には気の利いた最終ラインのカバーリングでピンチを未然に防ぐなど、1人で幅広いタスクを見事にやってのけた。まるで、ピッチ上に何人もいるかのように錯覚してしまうほど、とにかく至る場所で目立った。

荒木遼太郎(背番号13)
U-23イラク代表戦:79分 OUT
評価:A

 センスの塊。この日も自由に動きながら相手にとって厄介なポジショニングを取り続け、圧巻の視野の広さとアイデア溢れるパスを駆使しながら攻撃を活性化させた。42分に藤田譲瑠チマとの連係から奪ったゴールは、ボールを受けるタイミング、フィニッシュの冷静さすべてを含め見事の一言。改めて攻撃の中心にいるべき存在であることを確認させられた。

松木玖生(背番号17)
U-23イラク代表戦:80分 OUT
評価:B

「疲れ」という言葉を知らないのだろう。この日も攻守においてよく足を動かし、球際での競り合いで優位に立ち続けた。また、この日は過去の試合に比べてもボックス付近でボールに触れる機会が多く、ネットこそ揺らすことができなかったが、果敢にミドルシュートを放って相手を脅かした。決勝戦でも頼りにしたい。

川﨑颯太(背番号6)
U-23イラク代表戦:80分 IN
評価:出場時間短くなし

 プレー時間が短く目立つことはなかったが、試合をしっかりと締めた。

山本理仁(背番号7)
田中聡(背番号14)
U-23イラク代表戦:出場なし
評価:なし

●WG

平河悠(背番号20)
U-23イラク代表戦:フル出場
評価:B

 ゴールやアシストという目に見える結果が出なかったのは残念と言わざるを得ないが、スピード溢れるドリブルでの仕掛けは大きな脅威に。何度か相手を置き去りにして深い位置に侵入していた。また、守備の献身性も大きく評価できるポイントで、懸命なプレスバックで左SBの大畑歩夢をしっかりとサポートしていた。

山田楓喜(背番号11)
U-23イラク代表戦:72分 OUT
評価:C

 前からの果敢な守備でチームの役に立っていたものの、肝心な攻撃面は平凡なものに。とくに前半はボールを持つ時間より消えている時間の方が長く、厳しい内容だった。後半は少しだけ触る機会が増え、48分にはポスト直撃のシュートを放ったが、目立ったのはこのワンプレーのみ。最初の交代は妥当な結果だろう。

藤尾翔太(背番号9)
U-23イラク代表戦:72分 IN
評価:C

 72分からピッチに登場。時間が限られたため決定的な仕事を果たすことはできなかったが、右サイドで見せ場を作ることもあった。交代直後のイエローカードはやや不運だった。

佐藤恵允(背番号10)
U-23イラク代表戦:79分 IN
評価:出場時間短くなし

 自らのストロングを示すには時間が足りなかった。

●DF

高井幸大(背番号22)
U-23イラク代表戦:フル出場
評価:A

 試合を重ねるごとにレベルアップしている。とくにイラク戦はビルドアップで質の高いプレーを連発しており、効果的な縦パスや勇気のある持ち運びで最後尾から攻撃のリズムを生み出していた。もちろん守備も安定しており、74分にはしっかりとしたカバーリングで相手のシュートをぎりぎりでブロックする超ファインプレーを披露した。

関根大輝(背番号4)
U-23イラク代表戦:フル出場
評価:B

 今大会安定したプレーを続けている選手の1人で、イラク戦も例外ではなかった。恵まれた体格を武器に右サイドを簡単に突破させず、攻撃ではタイミングの良い飛び出しで味方を的確にサポートしていた。試合後、GK小久保玲央ブライアンに今大会の「MVP」に選ぶと絶賛されたが、それも納得のいく評価だ。

大畑歩夢(背番号21)
U-23イラク代表戦:90+1分 OUT
評価:B

 最後まで左サイドで上下動を繰り返し、イラクにとって厄介な存在となり続けた。42分には粘り強いボールキープから藤田譲瑠チマに鋭いパスを通し、荒木遼太郎のゴールへとつなげている。アピールに成功したと言えるだろう。

木村誠二(背番号4)
U-23イラク代表戦:フル出場
評価:B

 大きなミスを犯すことなく、高井幸大とともにクリーンシートを果たした。しかし、とくに後半は相手のロングボールに苦戦していた印象で、74分にはボールを弾き返せず背後に走られ、大ピンチを招いた。これは高井のファインプレーに助けられ事なきを得たが、反省は必要。C評価に近いB評価といったところだ。

西尾隆矢(背番号3)
U-23イラク代表戦:90+1分 IN
評価:出場時間短くなし

 退場処分を受けた初戦以来の出場。数分間のプレーだったが、ピッチに立ったことに意味がある。

半田陸(背番号2)
鈴木海音(背番号15)
内野貴史(背番号16)
U-23イラク代表戦:出場なし
評価:なし

●GK

小久保玲央ブライアン(背番号1)
U-23イラク代表戦:フル出場
評価:B

 イラクにそれほど多く決定的なシュートを許したわけではないが、ハイボールやバックパスの処理を冷静に行いクリーンシート達成。この日も変わらず安定感があった。決勝戦でもゴール前に立ちはだかり、日本にカップをもたらしてほしい。

野澤大志ブランドン(背番号12)
山田大樹(背番号23)
U-23イラク代表戦:出場なし
評価:なし

●監督

大岩剛監督
評価:A

 今大会No.1と言ってもいい内容で完勝。とくに、準々決勝カタール戦でベンチだった荒木遼太郎と平河悠の先発起用がハマっており、攻撃に迫力が増した印象があった。まだ決勝戦が残っているとはいえ、ひとまずパリ五輪出場という最低限の目標を達成したことは一安心。誰が出ても勝てるチームは着実に進化している。

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