新入社員が入社するシーズン、どんな新人が入ってくるのか、ドキドキしますよね。知人の会社では3日ももたずに退職した女性の新入社員が伝説となっているそうです。知人が呆れながら教えてくれたエピソードをご紹介します。

新入社員が出社してこない!

知人の職場に、新入の女性社員のA子が配属されました。増員が少ない会社だったので、貴重な新人です。
上司や先輩たちはA子をあたたかく迎えましたが、A子は緊張しているのか硬い表情を見せていました。
周囲はそのうち慣れるだろう、と思っていましたが、A子は入社して3日目に職場に姿を現しませんでした。
始業時間になってもA子は出社せず、上司がA子のスマホに連絡をしましたが、A子からの応答はありません。何かあったのでは、と実家に連絡しようとしたとき、上品そうな1人の女性が職場に入ってきました。

新入社員の母親が登場!?

その女性は、にこやかに「A子の母です」と。なんと、A子の代わりに母親が出社してきたのです。
A子は母親に「会社の雰囲気が悪い。思っていた仕事内容と違う。過酷な労働環境のブラック会社だ」などと言い、母親に辞めたいと訴えたのだとか。
母親はA子の代わりに退職を告げに来たのです。

新入社員の言い分にあ然

言われた内容に心当たりがない上司は、どういうことか詳しく話を聞くことにしました。
「会社の雰囲気が悪い」と感じた理由は、業務中に私語がない雰囲気を怖く感じたため。業務中に私語を慎むのは当然ですが、A子は和やかに会話が飛び交う和気あいあいとした職場を求めていたそうです。

「思っていた仕事内容と違う」と訴えたのは、雑用からスタートしたのが不満だったため。入ったばかりの新人に大切な仕事を任せる会社なんてありません。
また、A子は定時で帰っていましたが、残業や休日出勤をしている社員がいることを知り、「ここはブラック会社だ!」と思ったそうです。確かに残業や休日出勤もあるけれど、忙しい時期だけで、法律に違反しているようなブラック会社ほどではありません。
話を聞いた上司は言葉を失ってしまいました。

世間知らずぶりにドン引き

A子の母親は「大切に育てた箱入り娘で……。社会に出てびっくりしたようです」と言い訳をしましたが、社員たちはA子の世間知らずぶりにも、A子を甘やかす母親にもドン引き。
これは無理だと判断した上司は、その場でA子の退職届を受理しました。これまでに短期間で退職する社員はいましたが、3日は最短記録です。

A子の母親は「ご迷惑をおかけしました。人手が足りないようでしたら、私が働きましょうか?」ととんでもない提案をしてきましたが、丁重にお断りしたそうです。
社会人には当たり前だと思っていることが、新入社員にとっては当たり前でなかったのかもしれません。ですが「親子そろって強烈だね」と職場は騒然。インパクトが強いエピソードだったため、社内で「幻の新人」として語り継がれているそうです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:江田愉子