勝手に思い込んでいた価値観や常識が通用しない場面に出くわしたとき、あなたならどうしますか? これは筆者の友人・R子から聞いた本場で知った日本では常識外れの出来事のお話です。

研修旅行

私は以前、ある企業が経営するショットバーで働いていました。
勤務して3年が経った頃、社員旅行で本場アメリカのショットバーを視察することになり、同僚たちとニューヨークへ行くことになったのです。

女性のバーテンダーがいるショットバーに行けることがわかり、私はとても楽しみにしていました。

ありえない態度

実際にニューヨークへ行き、私が驚いたのは、ショットバーだけではなく、ファーストフード店などの女性店員が全く笑わないことでした。
日本ではニコニコしてオーダーを受けるのが当たり前ですが、ニューヨークではニコリともせず、仏頂面をして対応をしていたのです。

カウンターに肘をつき、指でこちらを指しながら「Next!」と呼ばれたときには、本当にビックリしました。

トイレ

ショットバーで飲んでいたとき、トイレに行きたくなった私は、トイレの場所を探しました。
ウロウロしていると、1人の日系人男性が声をかけてくれて「トイレに行きたいなら、バーテンダーから鍵をもらわないとダメですよ。」と言われました。

カウンター内にいた女性バーテンダーに声をかけると、黙って2つの鍵を渡され、顎で店の奥のトイレを指したのです。
トイレに行くと中から鍵をかけられる扉が2つあり、もらった鍵はそこのものでした。

ニコニコしない理由

トイレをすませて出てくると、先程の日系人の人が待っていて話をしてくれました。

「ニューヨークでは女性の店員はニコニコしたりしないんですよ。日本では考えられないけど、思わぬ犯罪に巻き込まれる可能性があるんです。トイレも厳重に鍵を閉めるのは犯罪に巻き込まれないため。隙を見せないようにしなくちゃ危ないですよ。」と教えてくれたのです。

感じが悪いと思っていたバーテンダーや店員の態度は、自己防衛だったことを知りました。

常識の違い

鍵を返しに行った時だけ、女性バーテンダーは口角をあげてニコッとしてくれましたが、それは一瞬で私にしかわからない角度でした。

日本のように治安の良い国では考えもつかない理由でしたが、彼女たちが自分の身を守るためにはニコニコすることはできなかったのです。

私は一緒に行った同僚にもその話をし、自分たちの無知を恥ずかしく思いました。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K