1日のニューヨーク外国為替市場の円相場は対ドルで急騰し、一時1ドル=153円00銭と4月中旬以来の円高ドル安水準を付けた。この日、米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、金利の据え置きを決めたが、結果公表前の157円台から一気に4円超も円高方向に進んだ。ニューヨークの邦銀関係者は「日本政府・日銀による為替介入が実施されたとみている」と指摘した。

4月29日にも160円台から154円台後半まで5円程度急騰する場面があり、政府・日銀が、為替介入を実施したかどうかを公表しない「覆面介入」を行ったとみられる。その後はじわじわと円安方向に戻っていた。

米FOMCは利下げ見送り

1日のFOMCでは、主要政策金利を5・25〜5・5%で据え置くことを決めた。米国が利下げに転じる見通しが遠のくなか、さらなる円安進行を抑え込むために政府・日銀が介入に踏み切った可能性がある。介入の効果は限定的とされ、円相場はその後、155円近辺で推移した。

FRBが3月に公表した経済見通しでは、年内3回の利下げを見込んでいた。だが、足元では物価上昇率が拡大するなどインフレ基調が続いており、パウエル議長は会合後の記者会見で「ここ数カ月、物価上昇率2%の目標達成に向けて進展していない」と指摘した。利下げの時期については「経済指標次第だ」と繰り返すにとどめ、開始時期が遅くなる可能性を示唆した。市場では高金利政策が長期化するとの警戒感が高まっている。

一方、会合では、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を合わせて月950億ドル(約15兆円)を上限としてきた保有資産縮小のペースを減速することも決めた。