岸田文雄首相(党総裁)が、国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途公開の検討を党に指示した。自民、公明両党は政治資金規正法改正の与党案をめぐり、パーティー券購入者の公開基準を現在の20万円から引き下げる方針を固めた。衆院3補選全敗で、岸田自民党のお尻に火が付いたようだが、旧文通費の使途公開には、日本維新の会にすり寄る深謀遠慮もありそうだ。ところで、外国勢力の浸透・介入を防ぐ、「外国人のパーティー券購入禁止」はどうなったのか?

「この国会で結論を出せるように、各党と議論を行っていく」

岸田首相は4月24日の参院予算委員会で、旧文通費について、こう語っていた。

日本維新の会が強く求めていた旧文通費の使途公開だが、自民党は消極的で議論は停滞していた。ただ、派閥裏金事件を受けて政治不信が深刻化するなか、公明党や立憲民主党も公開に賛同した。自民党も重い腰を上げざるを得なくなった。

あるベテラン議員は「次期衆院選では『大敗』もあり得る。野党が攻勢を強めるなかで国会運営も困難となるだけに、歩み寄りが必要だ。自民党と公明党の連立で過半数を維持できない場合、日本維新の会を連立に加える『保険』も模索している」とみる。

政治資金規正法改正でも、軌道修正がありそうだ。

産経新聞によると、自公両党は、現在20万円超となっているパーティー券購入者の公開基準の引き下げを明記する方針を固めたという。

自民党では、名前の公表を嫌う企業・団体がパーティー券購入を控えるとの懸念から、公開基準の引き下げには慎重論が根強かった。ところが、自民党以外の主要政党が「パーティー禁止」や「公開基準引き下げ」を打ち出し、「ゼロ回答」は許されなくなったようだ。公明党などが掲げる5万円超のほか、10万円超への引き下げ案が浮上しているという。

ただ、日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、外国勢力の浸透や介入を防ぐ、「外国人のパーティー券購入禁止」については、自民党内からも求める声があがるが、執行部の関心は薄いようだ。

保守系の野党議員は「外国人のパーティー券購入を野放しにするのは異常だ。国会でも『ザル法』の焦点として問題提起されているのに、改革を避けているようにしか見えない」と批判している。