祖母から母、そして孫へと受け継がれるチイリチャー
命を尊ぶ料理
「風味付けは絶対、泡盛よ」
「あぁ、血の塊は細かくしすぎないで」
「味噌はどれくらい入れる?」
調理をめぐり、祖母、母、孫の丁丁発止を見守っていたコウさん。いよいよいただきます。
「いろんな顔の部分と野菜、そしてなんといっても血ですね。最高に調和が取れてます。口のなかが楽しい。コリッとした軟骨の部分と身の部分、プリッとした骨の部分があって、血も美味しい。臭みも全くなくて、感動!」
「大切な豚の命をいただくので、顔も内臓も血も全部食べる。これが豚に対する感謝の気持ち。無駄なく食べるのが一番じゃないかなと思うんですよ」と明さん。
「学校ではこんな郷土料理まで勉強できないので、ばあちゃんに聞いて地元の味を勉強できるいい機会だと思っています」と孫の聖佳さん。
目の前で祖母から孫にチイリチャーのレシピが引き継がれていく現場をみて、コウさんは感慨を深くしました。
※本稿は、『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。