パパから届いた電報

おじさんが勧(すす)めてくれた旅館の部屋は、とても広くて立派だった。

食べものだって、東京に比べたらずっと手に入りやすそうだ。

ママは「疎開はここに決めるわ」と言って、東京にいるパパに電報を打った。

パパからの返事はすぐに来たのだが、その電報を読むママの顔がみるみる凍(こお)りつき、トットたちは、すぐに荷物をまとめて東京に戻(もど)ることになった。

帰りの汽車の中でも、ママはずっときびしい顔をしていた。あとで知ったことだが、パパから届いた電報には、「ショウシュウ レイジョウ ガ キタ」と書いてあった。

※本稿は、『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)の一部を再編集したものです。