母の介護を13年近く続けた市毛良枝さん。市毛さんの母は、脳疾患と大腿骨骨折により歩けなくなることが懸念されていました。しかし、懸命なリハビリで医師も驚くほどに回復し、90代では海外旅行を楽しむまでに。さまざまな葛藤を乗り越えて母に寄り添った市毛さんが、その姿から学んだことは(構成:丸山あかね)

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<前編よりつづく>

飛行機の中で人生を終えたとしても

そうこうするうちに、母は元気がなくなっていきました。ひとりでは出かけられないし、病気の後遺症で針も持てない。なんとか励ます方法はないかと思案して閃いたのが、海外旅行でした。

以前、母に「もし私と旅するならどこに行きたい?」と聞いた時、「オレゴン」と言ったことを思い出したのです。かつて私が出演したドラマ『オレゴン日記’89』のロケ地であるオレゴン州ベンドの風景を実際に見てみたい、と。

さっそくオレゴン州に関わる仕事をしている友人に相談しました。母は車椅子での移動になるので、現地でサポートしてくれる人の手配を頼んだところ、「私も一緒に行こうかな」と彼女が言い出したんです。

さらにもう1人、参加したいという友人が現れて。2人が一緒ならなんとかなるだろうと実行に移しました。母が92歳の時です。