自分が元気なうちに住宅ローンやカードローンを完済できるか……不安に感じている人は少なくありません。そこで、住宅ローンを残さないための“救済策”や、住宅ローン・カードローンを残してしまった場合の注意点について、行政書士で相続・終活コンサルタントの明石久美氏による著書『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 人に迷惑をかけない終活』(オレンジページ)からみていきましょう。

「住宅ローン」を残して亡くなってしまったら?

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●元気なうちに住宅ローンを払いきれるか心配……

●体が不自由になってからも、住み慣れた家に居続けられる?

ローンも相続財産…できれば生きているうちに完済を目指す

完済できない場合、相続する人が借金を負うことになる

マイナスの財産も相続する人に引き継がれます。住宅ローンも相続の対象となるため、保険(団信)に入っていない場合は誰かが支払わなければなりません。

残された人にマイナスの財産を引き継がせたくないとなれば、生きているうちに返済を完了させるのがベストでしょう。どうしても完済が難しそうな場合は「リースバック」または「リバースモーゲージ」といった制度の活用を検討してみましょう。ただし、デメリットもあるため、よく理解したうえでの活用が大切です。

●リースバック

不動産会社に自宅を売却して現金化する仕組み。賃貸として住み続けながら毎月家賃を払っていく。物件の築年数やタイプ、本人の収入上限など、利用条件は緩やか。  

●リバースモーゲージ

銀行に自宅を担保に設定して資金を借りる仕組み。住み続けながら毎月利息のみを返済していき、死亡後は自宅を売却する。条件は厳しい。

いずれも高齢者でも活用できる制度です。自宅は市場価格より低くなりますが、亡くなったあとローンは残りません。

死亡後に住宅ローンが“完済扱い”される仕組み

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●ローンを払いきれないまま亡くなったら自宅の権利はどうなるの?

ローンの完済が不安なときは、住宅ローンの契約時に団体信用生命保険(団信)に加入をしているか改めて確認をしてみましょう。団信とは、ローンの契約者が亡くなったり、返済できないほど重度の障害になったりしたときに、ローンは完済したものとして扱われる保険のことです。

ローンの返済途中でローンの名義人が亡くなっても団信に加入していれば残りのローンは消滅します。自宅も残るため、そのまま住み続けることもできます。ただし、ローンの返済が途中で滞っていた場合は適用されません。

また、夫婦でペアローンを組んでいるとき、どちらかの契約者が亡くなっても、残された契約者のローンまで完済扱いになるわけではなく、返済義務は残ります。

「カードローンの未返済分」は救済されないので要注意

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●クレジットカードの返済の途中で亡くなると支払いはどうなる?

カードローンは返済途中で亡くなると完済扱いとなる団信のような救済措置はありません。返済を残したまま亡くなってしまうと、相続人が相続を放棄しない限り、返済義務も引き継がれていきます。

相続人がカードローンの返済をしたくない場合は相続を放棄することになりますが、その場合は、プラスの財産も放棄しなくてはならなくなるため注意が必要です。

カードローンも可能な限り早めに返済をして支払いを残さないことが最もよい方法です。

生前の完済がベストだが…どうしても難しそうなら家族へ早めの相談を

カードローンを完済しないまま亡くなってしまった場合、亡くなったあとに請求書が来て困ってしまうケースも十分にあり得えます。完済が難しそうなことがわかっているのであれば、家族や残される人に早めに話をしたり、その事実が伝わるようにしておくことが大切です。

明石 久美 相続・終活コンサルタント/行政書士

著者:明石 久美