当時飼育していた闘犬種を散歩中、通行人にかみついてけがを負わせたとして、重過失傷害罪に問われた被告(27)=岐阜県各務原市=の初公判が15日、岐阜地裁(平手一男裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は禁錮6月を求刑、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて即日結審した。判決は6月5日。

 起訴状などによると、被告は2022年11月、飼育していた体重22キロのアメリカン・ピット・ブル・テリアを散歩に連れ出した際、自転車で通りかかった女性=当時(83)=に犬が飛びつき、耳などにかみついて全治約1カ月のけがを負わせた。23年8月には、同居していた祖父が散歩させたところ、自転車で通りかかった男子学生=当時(15)=のひざにかみついて全治約1カ月半のけがを負わせたとされる。

 検察側は冒頭陳述で、犬には狂犬病の予防接種をしておらず、指示に従えない状態だったと指摘。22年の事故後、調べに対し「犬は死んだ」などと説明した上で23年6月に名前を偽って登録。その後も予防接種をすることはなく、管理方法などが書かれたパンフレットを受け取っていながら読んでいなかったとした。

 論告では、犬を制御できないことを知りながら散歩に出かけ、初回の事故を起こした点や、防止措置を取ることなく祖父に散歩を任せきっていた点などを挙げて「事故は起こるべくして起こったもので、悪質というべき」と非難した。

 弁護側は論告で、事故を起こした犬を殺処分したと明かした上で、2件の事故について、予見可能性の低さなどを挙げ「大きな重過失はない」と主張した。