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酷評されてはいますけど…。

元Apple社員が手がけるまったく新しいツール。将来的にはスマートフォンにとって代わるかもしれない、画面なしのコンピューター「Humane AI Pin」。昨年発表されたときはそれなりに注目を集め、満を持して今月発売。

が、酷評の嵐となっております。初代端末なこともあり、動きも悪いうえ、現時点で使える機能が少なすぎるのがネック。

Humane AI Pinは新しい端末であり、初代がリリースされたとはいえ、まだ煮えきっていない、いや煮えてすらいない状態。

今後、今年のCESで話題を集めたRabbit R1のような立ち位置となるのか、それともMetaとレイバンがコラボするスマートグラスのような存在になるのか…。今はまだ未知数です。まったく新しい端末の初代を手にとるということは、今後どう化けるかを想像することです。

それを踏まえて、それでも使ってみたいという人。機能制限があっても端末をいじってみたいという人。コアなガジェット好きアーリーアダプターの皆さん。ニッチではありますが、入手前に確認しておくべきことをまとめました。

価格は?

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AI Pin自体がそこそこのお値段です。699ドル。ドルでいうと、中価格帯スマホと同じなのですが、昨今の円安の影響で日本円だと10万円前後…。ちなみに、これは基本デザインの価格で、クロムフレームモデルになると+100ドルされます。

AI Pinに同梱されているのは、まず充電パッド。これはAppleのMagSafeチャージャーを想像してもらうとわかりやすいかと。そして、充電ケース。こっちはワイヤレスイヤフォンの充電ケースをイメージするとわかりやすい。そして、USB-Cのケーブルと交換可能のバッテリーブースターが1組。現時点ででているレビューの中には、バッテリーもちの悪さを指摘する声もあり、実際に使うなら交換用バッテリーを携帯するのはマストでしょうね。

これで終わりじゃありません。AI Pinを購入しても、ランニングコストがかかります。現時点ではアメリカ国外の利用は想定されていないので、アメリカの話。米通信キャリアT-Mobileのデータ無制限プラン(クラウド容量つき)が必要で、これが月額24ドル。どうしても日本で使う!という場合、T-Mobile契約した上で海外プランの1日5ドルを利用可能。ただ、これ30日に1度50ドルの手数料がかかるので、どこまでもあがっていきます…。ただ、Wi-Fi接続可能なので、限られた場所でWi-Fi利用するならそれもOK。

まだあります。AI Pinで音楽を聴きたいとします。すると、Tidalのアカウントが必須。現段階で使用できる音楽サービスがTidalのみだからです。で、Tidalのプランが月額11ドル。

いつ手に入る?

予約していた人はすでに手元にあるはず。発売前予約をしていなかった人が手にできるのは、5月頃とのこと。

どうやって操作するの?

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基本の操作は、タッチ・音声・プロジェクションUI。スマホやパソコンのように画面がないのがAI Pinの特徴です。つまり、Wi-Fiのパスワード入力や設定などを、従来のスマホ・パソコン感覚でいるとちょっとイラっとくるかも。

スマホと違い、AI Pinは端末をポケットから取り出し、アンロックして、スクロールしてアプリ起動なんて手順はいりません。音声リクエストで完了するからです。AI Pinを指で長押しし、音声コントロールを起動してしゃべるだけ。通訳機能を使うときは2本指でホールド。その他、上下スクロールで音量、ダブルタップで写真撮影が可能。

が、問題はその方法が必ずしも速くはないこと。手順数は少ないものの、ポケットから取り出してあれこれ起動してという手順数の多いスマホの方が早くタスク完了するってのが現状です…。

発表時に注目されたのは、プロジェクションUI。これは、AI Pinに搭載された超小型プロジェクタが、手に情報を投影するというもの。AI Pin用語では「レーザーインクディスプレイ」。

720pディスプレイに明るい緑と白で文字が表示されます。手のひらに照射するベストな距離は18センチから35センチほど。手のひらディスプレイであり、壁への照射は想定されていません。レビューでもでていますが、これ太陽光の下だと見にくいです。日陰か室内がベター。

プロジェクションUIにはホーム画面があり、ここで天気や音楽、メッセージ、通話にアクセス可能。機能によって発動ジェスチャーが異なり、手を返したり、指でタップしたり、親指をつけたりなど、ちょっと覚えるのが大変そうな気も。

できること・できないこと

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Humaneは「直接的にスマホに置き換わるものではない」といいますが、スマホでできる多くのことをAI Pinがやろうとしているのは事実。テキストメッセージOK、通話OK、メモOK、動画・写真撮影OKです。

搭載されているカメラは12MP、1080p/ 30FPSの動画、最大4160 x 3120画質の写真が撮影可能です。メインカメラとしては弱いものの、さくさく動くならば常に胸元にカメラがついているのは便利かも。

実際使って1番ガッカリしそうなのは、現状アシスタント的働きができないこと。つまり、時間がからんだタスク、スケジュールのリマンインドやアラームなどができません。カレンダーにアクセスしてスケジュール確認するのも、地図で行き方を調べるのもできません。ただ、今はできないという話で、今後もちろん対応予定。早ければ夏頃には対応される可能性も。機能追加について詳しくは、Humaneのプロジェクトロードマップで確認できます。

これも現時点での話でしょうが、レビューでかなり酷評されているのがその処理スピード。何をするにも遅いのです。

ちょっと間が開く感じ。場合によっては10秒ほど「しーん」てなっちゃう。「今日のお天気は?」なんてイージーなタスクでも間が開いちゃって、初期レビュワーのイライラを誘っています。また、AIあるあるですが、誤った答えが返ってくることもあるとの報告も。

Humaneいわく、AIモデルも絶賛頑張り中とのことで、今後より正確&スピードアップしていくことを期待。また、AI機能は主にクラウドで、一部オンデバイスとなっています。