連休中の阿寒湖でモーターボートが転覆し、男性2人が死亡した事故。
 ボートの転覆が起きるのは、決して強い風のときばかりではありません。実際の動画からひも解きます。

 楽しいゴールデンウィークになるはずでした。天気にも恵まれた釧路市の阿寒湖で3日、事故は起きました。

 札幌市と帯広市の男性2人がモーターボートに乗って釣りに出たまま行方が分からなくなり、その後、2人とも、死亡した状態で見つかりました。

 この日の阿寒湖畔の最大瞬間風速は14.2メートル。

 強い風でモーターボートが転覆した可能性もあり、警察が原因を調べています。

 しかし、こうしたボートの転覆事故は、たとえ風が強くなくても起こり得ます。

視聴者提供の動画(去年11月)
「釣れた?来ましたか?来ましたか?アジかな?アジかな?あーいいじゃん」

 これは去年11月、福井県の敦賀湾で、滋賀県の50代の夫婦が撮影した動画です。旅館で借りたミニボートに乗って釣りに出ました。

視聴者提供の動画(去年11月)
「思いのほか海が荒れている。穏やかって予報だったけど」
「たぶん、荒れるからから、みんなきょうは来てないんだわ」

 この日の予報では、風速2〜3メートル。しかし、沖合に出ると見えたのは白波。海は予想よりも荒れていたのです。

視聴者提供の動画(去年11月)
「うわっ、こええ!進めまへんねんけど…」

 大きく揺れるボート。しかし、2人はそのまま釣りを始めます。

 「せっかく時間をかけてきたんだ」「支払ったボート代がもったいない」そんな思いからでした。そして…。

 船の上で体重を移動させた途端、ボートは一瞬にして転覆。2人は海に投げ出されてしまいました。

 たまたま近くにいた人が通報し、その後、2人は旅館の船に救助されましたが、一歩間違えると命に関わりかねない事態でした。

 一度海に投げ出されると自分たちで態勢を立て直すのは難しくなります。

 これは海上保安庁が作った実験映像です。ボートに乗った人が船の上で移動するだけで、簡単に転覆してしまいます。

動画の音声
「せーの」「下から押し上げるように復元を試みています」「無理」

 一度転覆すると元に戻すことや、ほかのボートに乗り移ることがとても難しくなります。

 海や湖でのレジャーが本格化するこれからのシーズンに向け、海上保安庁は、ボートに乗る際はこまめに天気情報を確認し、救命胴衣を確実に着ることなどを呼びかけています。