【ひどい腰痛も8割治る】#13

「あれから1年。おかげさまで靴を履く時に腰に違和感はありますが、痛みはなくなりました。それに違和感も一瞬です。知り合いの人で腰痛持ちがいるので今度、ぜひそちらのクリニックを紹介させてください」

 こんなうれしい報告をしてくれたのは、72歳の神奈川県在住の患者さん。若い時から腰痛持ちで、2年前には近所の整形外科で脊柱管狭窄症と診断されたとのこと。鎮痛剤を処方され、様子を見ていたが一向に良くならず、歩行もままならない状態になったため、当院を受診されたとのことでした。

 MRIの精密検査の結果、3カ所の椎間板に椎間板変性と狭小化がみられました。背骨の骨と骨との間にあり、背骨を安定させる線維性の組織(靱帯)は肥厚し、硬くなる黄色靱帯肥厚もあり、最終的に脊柱管狭窄症と椎間板変性症との診断結果となりました。

 3カ所の椎間板内に、特殊なジェルを刺入するセルゲル法を実施。痛み止めも処方しましたが、この方の場合、過去に抗菌作用が期待できる抗生物質の一種、テトラサイクリン系薬によりアレルギーの症状が出た経験があるとのこと。ご本人は痛み止めはあまり飲まないようにしているとの話でしたので、そのことを留意した処方であると、薬を渡す際に伝えました。

「お腹の力を抜くとぎっくり腰のような痛みが出るが、現段階では大丈夫なんでしょうか。発熱などの異常はないみたいですが」

 1週間後、患者さんのご子息から電話があり、その痛みは治療後の痛みであると説明。痛み止めで様子を見て、もし足りないようであれば追加分の痛み止めを送付すると伝えると、やや安心した様子でした。

 幸いその後の経過は良く、3カ月目には、歩くと少し腰や右下の背骨付近が張る感じや、筋肉痛などの症状があるものの、痛さは消失。筋肉の維持のためにも歩行やストレッチを行うようご案内すると、半年後には右骨盤の上のしこりもなくなり、1年後の現在、冒頭でのうれしいご連絡をしてくれるまで、回復されたのでした。

 最新の腰痛治療は以前よりも精密な検査と緻密な治療により、さまざまな原因による腰痛に対処できるようになっています。ですから腰痛は諦めないでほしいのです。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)