最近、喉がつかえる感じがする。風邪をひいているわけでもないのに、喉の異物感が続いてスッキリしない……。

 喉の違和感は、喉頭炎や扁桃炎といった喉の炎症、あるいは逆流性食道炎などで起こるケースもありますが、検査をしても異常がない場合は「咽喉頭神経症」かもしれません。

 咽喉頭神経症は、喉がいつもつかえたり、詰まっている感じがするなど、喉における違和感や圧迫感などを感じる疾患です。症状は通常時にはあまり感じなくても、食事をとったときに現れる場合もあります。「ヒステリー球」とも呼ばれ、主にストレスや緊張、疲労によって自律神経のバランスが崩れ、喉の筋肉が過剰に収縮することから引き起こされると考えられています。

 更年期前後の女性に多いとされていますが、がんなどの病気に対する不安感が引き金になる場合もあるため、体調を崩しがちなシニアにも現れるケースがあるのです。

 いつも不快な症状が続くと、日常生活においてつらいもの。食養生で改善を図りましょう。

 中医学において、喉がつかえる症状は、「梅干しの種が喉に詰まった」ような感じに例えて「梅核気」と呼ばれています。ストレスなどによって「気」の流れが滞ることで引き起こされると考えられています。

 気の巡りは、西洋医学でいう自律神経に重なり、そのコントロールがうまくいかないと精神不安定、イライラ、怒りっぽいといった症状が現れます。気が滞ると、胃が張る、胸や脇に張った痛みがある、目が疲れる、ゲップやガスが多い、不眠といった症状も見られがちです。そして、気の巡りが相当ひどい場合に見られるのが、梅核気。つまり、自覚がなくても「かなりのストレスがかかっている」という特徴の決定打なのです

 改善のためには、気を巡らせる食材を取り入れましょう。おすすめはパセリ。滞った気を「散らして」流すというパワフルな効能があるのです。ストレスによる食欲不振や胃痛、吐き気の改善にも力を発揮します。

 また、気だけではなく「血」を巡らせる効果も大。血流をアップして、肩こり、頭痛、関節痛の改善にもよく、美容面ではダイエットや美白にも役立ちます。

 「添え物」のイメージが強い野菜ですが、その効能は絶大。刺身や洋食に添えられたパセリは残さず食べることはもちろん、普段の食事にも「彩り扱い」ではなく、積極的に取り入れてみましょう。

 オリーブオイルや白ワインビネガーとの相性が良いので、刻んだパセリをたっぷりと入れたサラダにすると美味しくいただけます。また、肉と一緒に炒めたり、ニンニクやくるみ、粉チーズとともにプロセッサーにかけた「ジェノベーゼ風」のパセリソースもおすすめ。1わを1食で食べるつもりでいろいろ工夫してみましょう。

 パセリの喉のつかえを改善する効果を高めるには、同じく気の巡りをよくする働きのあるセロリ、ハーブ類、かんきつ類と組み合わせると良いでしょう。

 また、中医学において自律神経と関わりの深い臓器「肝」の働きをサポートする、タコ、アサリ、ホタテなどをプラスするとより効果的です。

■パセリ高齢薬膳レシピ

パセリとタコ、オレンジのサラダ

 気の巡りを良くするパセリ、オレンジと、肝の働きを整えるタコを組み合わせたサラダ。バルサミコ酢入りのドレッシング、オレンジの甘みでパセリが驚くほどたっぷり食べられるレシピです。さわやかな味わいで白ワインのおともにぴったり。

【材料】2人分
●パセリ 20g
●タコ 100g
●オレンジ 2個
●A(オリーブオイル=大さじ1.5、白ワインビネガー・バルサミコ酢=各大さじ1、塩=小さじ1/4、こしょう=適量)

【作り方】
 粗く刻んだパセリ、ひと口大に切ったタコ、皮をむいて食べやすく切ったオレンジをボウルに入れ、混ぜ合わせたAも加えて全体をよく混ぜる。