通年、スーパーマーケットに並んでいる小松菜。アクもクセも少なく、淡白なイメージがあるため、意外に知られていないのがその栄養パワーです。とくに、骨の健康が気になる更年期世代にとっては、摂取しておきたい栄養が豊富に含まれています。5月27日は小松菜の日。記念日にちなみ、小松菜の栄養や一緒に食べると相性の良い食材について栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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小松菜の優れた3つの栄養とは

 日本で小松菜と呼ばれるようになったのは、江戸時代に小松川(現在の東京都江戸川区周辺)で栽培されていたことに由来しているようです。現在でも東京で多く栽培され、関東の雑煮に欠かせない食材のひとつ。味わいにクセがないので、どんな料理にも合わせやすい野菜とされています。

 小松菜にはさまざまな栄養成分が含まれていますが、とくに更年期世代が意識して小松菜を食べておきたい理由には、カルシウム、ビタミンC、鉄の3つの栄養素が豊富な点にあります。日本食品標準成分表(2020年版)八訂に基づき、可食部100グラム(約3束〜4束)あたりの栄養価を紹介します。

〇カルシウム
 骨や歯の健康に欠かせない栄養素です。小松菜のカルシウムは茹でても損失量が少ないといわれています。生で170ミリグラム、茹でると150ミリグラムです。同量のホウレン草の約3.5倍の量で、野菜全体で考えてもトップクラスの含有量になります。成人女性の一日のカルシウム推奨量は650ミリグラム。女性は閉経後に、骨量が著しく減少します。積極的にいただくことで、骨量減少の速度をゆるやかにすることができるでしょう。

〇ビタミンC
 抗酸化作用があり、またコラーゲンの生成には欠かせないビタミン。シミやしわ、たるみなど、肌の衰えが気になる更年期には積極的に摂っていただきたい栄養素です。生で39ミリグラム含まれています。ビタミンCといえばミカンをイメージする人も多いですが、ミカンは35ミリグラムなので、小松菜を生でいただくほうが多く摂ることができるでしょう。成人女性の一日のビタミンC推奨量は100ミリグラムです。

〇鉄
 赤血球を構成する成分となり、全身に酸素を運ぶ役割をするミネラルです。鉄は生の小松菜には2.8ミリグラム含まれ、これはほうれん草の約1.5倍。野菜の中では多い含有量です。成人女性の一日の推奨量は月経の有無で変わり、月経ありが10.5ミリグラム、月経なしが6.5ミリグラムです。とくに閉経前の過多月経時には鉄が欠乏しやすいため、積極的に摂りたい栄養素になります。しかし、吸収率が低い非ヘム鉄であるため、単品で摂るよりも動物性の肉や魚などのヘム鉄やビタミンCが多い食材と合わせて摂ると良いでしょう。吸収率が上がります。

小松菜の栄養を無駄なく摂るための調理方法や相性の良い食材

 小松菜を調理する際、ビタミンCやカルシウムなど水溶性の栄養成分の損失をできるだけ防ぎたいときは、スープやみそ汁など煮汁ごと食べられる料理にすると良いでしょう。または、電子レンジで調理すると栄養を逃さずいただけます。

 相性の良い食材は、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが多いもの。例えばシラスやサケなどの魚類、マイタケやシイタケなどのキノコ類が挙げられます。同様にカルシウムを骨に吸着させて骨の形成を助けるビタミンKを含む食材も一緒に摂ると効果的です。小松菜自体にも含まれていますが、ほかには納豆、豆苗、ブロッコリー、ヒジキなどの海藻類などがあります。

 小松菜を生で食べる場合は、ビタミンCが多いキウイフルーツやミカンなど好みのフルーツと合わせてスムージーにすると、鉄の吸収率がアップします。またアクが少ないので、ビタミン豊富な他の生野菜と一緒にサラダにしても良いです。

 季節を問わず手に入りやすい小松菜を日々の献立にプラスして、栄養メリットをいただきましょう。

Hint-Pot編集部